次世代AR技術を使用したバーチャル水槽

2023/5/23

AquARium AR


弊社が開発したAquARium ARでは、自分の部屋の好きな場所にバーチャルな水槽を設置することができます。

水槽の中の魚たちに餌をあげることもでき、本物さながらのアクアリウムライフを体験できます。


このように部屋の中にバーチャルなオブジェクトを置くAR技術は、既に何年も前から普及しています。

購入前の家具をARで部屋に表示するアプリなどは、使用されたことのある方も多いのではないでしょうか。


ですが、AquARium ARの機能はこれだけではありません。

一度設置した水槽の位置をアプリが記憶しているため、次回起動時に同じ位置に水槽を再び表示することができます。

次世代のAR技術を導入することで、このような機能が可能になりました。

実際に使用している様子を動画に収めましたので、ご覧ください。

保存した水槽を次回起動時に再表示


まずは、アプリを起動して水槽を設置したい場所にカメラ向けます。

場所を決めたら、その周辺をカメラで色々な方向から写しましょう。

これだけで水槽の設置が完了します。


次回起動時は、アプリが前回水槽を保存した場所を自動的に検出して、水槽を再び表示してくれます


AquARiumARはこちらからインストールできます


ご覧いただいた通り、2回目の起動時に、前回登録した水槽を部屋の同じ位置に表示することができました。

この機能はどのような技術に支えられているのでしょうか?

スマホカメラで部屋の立体情報をスキャン


このアプリは、スマホのカメラで捉えた部屋の立体的な形状をデータとして保存しています。

その形状をより正確に捉えるため、水槽の登録時に水槽の周囲を可能な限り色々な角度からカメラで写すように促されます。


カメラが捉えた部屋の情報は、点群(立体的な点の集まり)として認識されてアプリに保存されます。


2回目の起動時には、部屋と保存された点群との照合が行われ、前回の水槽の位置が復元されます。

VPS


カメラが捉えた視覚情報を元に位置を推定する技術は、一般的にVPS (Visual Pointing System) と呼ばれます。

しかし、この用語はまだ一般的には広く普及しておらず、VPSといえばVirtual Private Serverの略と解釈する人も多いかもしれません。


現在、位置を推定する技術といえば、GPS (Global Positioning System) が誰でもすぐに思い浮かぶでしょう。

GPSは地球上の大まかな位置を測定する技術として定着し、数十年が経過しています。数十メートルの誤差が許容される使用目的であれば、今後もGPSが用いられることでしょう。


VPSは、GPSよりも少ない誤差で位置情報を推定するというニーズから研究が進められた技術です。

GPSが地球規模で位置を捉えるのに対し、VPSはカメラからの視覚情報という、目の前のごく限られた範囲の位置を扱います。

今後は、大まかな位置の推定にはGPSを用い、細かな範囲の詳細な位置推定にはVPSを用いるように、お互いを補完しあう使用方法が普及していくと思われます。


位置情報技術のそれぞれの特徴


GPSとVPSの違いやその特徴を、もう少し詳しく見比べてみましょう。
VPSの技術は、大きく分けるとさらに2種類に分類できます。


GPS


GPSとはGlobal Positioning Systemの略称です。日本語では「全地球測位システム」と訳されます。
地球を周回しているGPS衛星の電波を端末が受信し、位置や距離や時刻などを計算して、現在位置を測定します。
世界中どこにでも利用できますが、ビル群の中だったりすると位置情報がいきなりジャンプして移動してしまったり、環境により位置情報の精度や信頼性も低くなります。 


屋外向けVPS


屋外向けのVPSは、都市の建物の形状を膨大なデータとして保存して、位置情報推定に使用する技術です。
今日現在Googleをはじめとして複数の企業が、世界の都市を巨大な立体データとして保持しVPSサービスを運用しています。Google Geospatial APIがその代表です。

現在は主に世界の主要都市のみデータの取り込みが完了した段階です。今後は全世界のより多くの都市をカバーしていくでしょう。

上述の通り、ビル群の中などではGPSの精度が低くなります。

屋外の正確な位置推定には、今後VPSによる方法が普及していくと見込まれます。


室内向けVPS


上記が都市を対象としたVPSであるのに対し、室内向けのVPSもあります。

プライバシーの問題もあり、Googleなどの企業が上記のような立体データを収集して公開するのは、屋外などの公共空間に限定されるでしょう(そうあって欲しいものです)。

屋内に関しては、各ユーザーが空間を自前でスキャンして使用する技術があります。Google Cloud Anchors APIがその代表です。

事前にアンカーを配置する場所の情報をスキャンすることで、高精度なアンカーの配置を行うことができます。

ただし、事前の情報取得が必要なため、特定の空間のみでの利用に限られます。 

室内VPSの主な用途


今回の記事で取り扱ったHome Aquarium ARは、上記のうち室内向けのVPSを使用しています。

このアプリでは、ユーザー自身が自分の部屋をスキャンして、室内の好きな位置に水槽を置くことができます。

それとは異なる室内VPSの活用方法として、アプリの提供者側が事前に対象となる空間をスキャンしておき、それをユーザーに活用してもらうというケースも考えられます。


以下にその他の活用方法を記載します。

活用例① 複数の家具をレイアウト

購入前の家具をARで室内に表示するアプリにも、VPSの技術は活用できます。


ひとつの家具だけであれば、その家具の3DモデルをAR空間上に表示して購入前に確認するサービスは既にかなり普及しています。実際にご利用になったことのある方も多いでしょう。


ただし複数の家具となると、せっかく配置した家具のレイアウトがその場限りで消えてしまうのはとてもストレスです。

Home Aquarium ARをお試しになった方であれば、この技術がすぐに複数の家具の配置に役立つことをご理解いただけるでしょう。


VPS技術を使って室内の点群情報をスキャンすることで、家具と部屋の位置関係を保存できます。

一度配置した家具を次回のアプリ起動時にも同じ場所に表示することができますので、入念に決めたレイアウトを後で家族とゆっくり相談することができます。

活用例② 店舗内の商品の位置を自動案内

事前に商品棚を含んだ室内の情報をスキャンしておくことで、商品位置の無人案内に活用できます。

アプリにお客さんが探したい商品を入力するだけで、アプリがお客さんを商品の棚まで案内してくれます。


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Vitalify Asiaでは、Unityによる先進的な技術を使用したアプリを日々開発しています。

ゲーム開発、AR/VRアプリ開発、2Dイラスト制作、3Dモデリングを得意としています。

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