CAD用語集:初心者が知っておきたい基本用語とデータの仕組み
CADを学び始めた初心者向けに、設計・図面・3D形状・データ交換で使われる基本用語を体系的に解説します。2D・3D CAD、ソリッド、サーフェス、メッシュ、B-rep、スケッチ、フィーチャー、三面図、公差、DWG・DXF・STEP・IGES・STL、PDM・BIMまで、各用語の役割と違いを整理します。

CADを学び始めると、三面図、B-rep、フィーチャー、STEPなど、さまざまな専門用語が登場します。これらは単なる操作名ではありません。図面の読み方、3D形状の作り方、データの保存方法など、CADを理解するために必要な概念です。
この記事では、CADの全体像をつかむために知っておきたい基本用語を、役割ごとに整理して解説します。
CADの基本
CAD(Computer-Aided Design)
コンピューターを利用して、製品や建築物などの設計を行う技術・システムのことです。図面の作成だけでなく、3D形状の設計、寸法の管理、設計変更などにも利用されます。
2D CAD
平面上に線や円、寸法などを配置して図面を作成するCADです。機械部品の製図、建築図面、設備図面などに利用されます。
3D CAD
立体形状をコンピューター上で作成するCADです。形状の確認や寸法の検討に加え、部品同士の組み合わせ、干渉チェック、解析や製造用データの作成などにも利用されます。
3D形状を表現する用語
3D CADでは、画面上で同じように見える形状でも、内部でどのように表現されているかによって、計算や編集の方法が異なります。
ソリッド(Solid)
立体の内部と境界を含む領域として形状を表現する方式です。体積を持つ部品の設計に適しており、条件が整えば体積や重心などの計算にも利用できます。
サーフェス(Surface)
曲面や平面などの面によって形状を表現する方式です。複雑な曲面を設計するときなどに利用されます。閉じた面の集合からソリッドを構成できる場合もあります。
メッシュ(Mesh)
多数の多角形、特に三角形などを組み合わせて形状を近似する表現方式です。3Dスキャン、CG、3Dプリントなどで広く利用されます。
B-rep(Boundary Representation/境界表現)
立体の境界を、頂点・稜線・面と、それらの接続関係によって表現する方式です。機械系のソリッドCADで広く使われています。厳密な曲面や立体形状を扱える点が、三角形メッシュによる近似表現との重要な違いです。
3D形状を設計する用語
スケッチ(Sketch)
3D CADで形状を作る際に利用する、平面上の線や円などの図形です。押し出しや回転などの操作の入力として使われます。ただし、すべての3Dモデリングがスケッチから始まるわけではありません。
幾何拘束(Geometric Constraints)
線や点などに対して、水平、垂直、平行、接線、一致といった幾何学的な条件を設定することです。形状の関係を明示することで、設計変更時にも意図した関係を維持しやすくなります。
パラメトリック設計(Parametric Design)
寸法や拘束、形状を作成する操作などのパラメーターと、それらの依存関係を利用して設計する手法です。寸法を変更すると、関連する形状も条件に従って更新されます。
フィーチャー(Feature)
押し出し、穴あけ、フィレットなど、形状を作成・変更する操作や、その操作を表すモデル要素です。フィーチャーを順番に積み重ねる設計方式では、設計の意図や変更の過程を追いやすくなります。
アセンブリ(Assembly)
複数の部品やサブアセンブリを配置し、製品などの構成を表現したものです。部品同士の位置関係を定義したり、干渉を確認したりするために利用されます。
図面を理解するための用語
3Dモデルは立体形状を表現しますが、製造や検査の現場では、形状や寸法などを適切に伝える図面も重要です。
正投影図法(Orthographic Projection)
投影線を投影面に垂直にして、対象物の形状を平面に投影する方法です。透視図のように遠近によって大きさが変わらないため、製図の基本として利用されます。ただし、投影面に対して傾いた部分の長さは、図面上で実寸どおりに表れるとは限りません。
三面図
正面図、平面図、側面図を組み合わせて、立体の形状を複数の方向から表した図面です。機械製図などで広く利用されます。三面図だけでは形状を一意に特定できない場合もあり、必要に応じて断面図、詳細図、寸法などを追加します。
第三角法・第一角法
正投影図を配置するための方式です。日本では第三角法が広く使われています。第一角法では投影図の配置関係が異なるため、海外の図面を読むときなどは、図面に示された投影法の記号を確認することが重要です。
寸法公差(Dimensional Tolerance)
部品の寸法に対して許容される範囲を示すものです。加工された部品には寸法のばらつきが生じるため、設計では必要な精度に応じて公差を指定します。公差の指定がない場合も、適用される規格や一般公差などが関係することがあります。
幾何公差(Geometrical Tolerancing)
形状、姿勢、位置、振れなどについて、許容される幾何学的な誤差を指定するものです。寸法が合っていても部品同士が正しく組み付かない、といった問題を防ぐうえで重要です。
CADデータのファイル形式
CADでは、使用するソフトや目的に応じて異なるファイル形式が使われます。ファイル形式によって、保存できる形状や設計情報が異なります。
DWG
AutoCADで広く利用される図面データ形式です。2D図面だけでなく、3Dの形状データなども扱えます。
DXF(Drawing Exchange Format)
CADソフト間で図面データを交換するために広く利用される形式です。主に2D図面の交換で知られていますが、対応するデータの範囲はソフトや仕様によって異なります。
STEP(Standard for the Exchange of Product Model Data)
異なるCADシステム間で製品データを交換するための国際規格に基づく形式です。3D形状の交換によく利用され、規格や実装によっては製品構造などの情報も扱えます。
IGES(Initial Graphics Exchange Specification)
CADシステム間で幾何形状などを交換するために使われてきた形式です。既存の設計データなどで利用されますが、新しい3D CADデータの交換ではSTEPが選ばれることも多くあります。
STL(Stereolithography)
3D形状を三角形の集合として表現するファイル形式です。3Dプリント用データの受け渡しなどに利用されます。一般に、元のCADモデルのフィーチャー履歴や厳密な曲面情報は保持しません。
CADを支える管理システム
PDM(Product Data Management)
製品データ管理の仕組みです。CADファイル、図面、部品表などを管理し、版管理、アクセス制御、承認などを通じて、設計データを組織的に扱えるようにします。
BIM(Building Information Modeling)
建築物などの形状と、部材の種類、仕様などの情報を関連付けて扱う考え方・プロセスです。設計、施工、維持管理などの段階で情報を共有・活用するために利用されます。BIMは単に情報を含む3Dモデルを作ることだけを意味するものではありません。
まとめ
CADの用語は、大きく分けると、形状を表現するための用語、形状を設計するための用語、図面を通じて形状や要求を伝えるための用語、そしてデータを交換・管理するための用語に整理できます。
例えば、B-repは立体形状の表現方法、フィーチャーは形状を作成・変更するモデル要素、三面図は立体を平面上で伝えるための表現方法です。それぞれが異なる役割を持っています。
個々の用語を暗記するだけでなく、どの段階で何のために使われるのかを理解すると、CADの仕組みをより体系的に把握できます。
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