CAD製図の用語集:寸法・投影法・公差の基本を解説
CAD製図で使われる基本用語を、図面の読み方から製造・検査に必要な精度指定まで体系的に解説します。正投影図、三面図、第一角法・第三角法、寸法線・寸法補助線、断面図、寸法公差、一般公差、幾何公差、データムの意味と違いを整理し、設計意図を正確に伝えるための基礎を学べます。

目次
- 投影法に関する用語
- 正投影図(Orthographic Projection)
- 三面図(Three-View Drawing)
- 第一角法・第三角法(First-Angle Projection / Third-Angle Projection)
- 寸法に関する用語
- 寸法(Dimension)
- 寸法線・寸法補助線(Dimension Line / Extension Line)
- 断面図(Section View)
- 公差に関する用語
- 寸法公差(Dimensional Tolerance)
- 一般公差(General Tolerance)
- 幾何公差(Geometrical Tolerancing)
- データム(Datum)
- 寸法公差と幾何公差の違い
- まとめ
CADで作成した図面は、形状を伝えるだけのものではありません。部品の大きさや位置関係、加工時に許される誤差などを、設計者と製造者の間で正確に共有する役割があります。
そのためには、三面図や断面図といった図面の表現方法に加え、寸法、公差、幾何公差などの用語を理解しておく必要があります。
この記事では、CAD製図で頻繁に登場する用語を、図面の読み方から製造上の精度指定まで順に解説します。
投影法に関する用語
正投影図(Orthographic Projection)
正投影図は、対象物を投影面に対して垂直な方向から見て、その形状を平面に表現する方法です。
立体を斜めから描く透視図などとは異なり、適切な投影方向を選べば、実際の形状や寸法を正確に伝えられます。ただし、投影面に平行でない部分は、その面の実際の大きさとは異なって見える場合があります。
機械製図では、正面図、平面図、側面図などを組み合わせて立体形状を表現します。
三面図(Three-View Drawing)
三面図は、一般に正面図・平面図・側面図の3つを組み合わせた図面表現です。
それぞれの図は、異なる方向から見た形状を示します。たとえば、正面図だけでは分からない奥行きを、平面図や側面図から読み取ることができます。
ただし、三面図があれば、どのような立体でも必ず一意に形状を特定できるわけではありません。内部形状や複雑な構造を伝えるには、断面図、詳細図、寸法などを追加する必要があります。
第一角法・第三角法(First-Angle Projection / Third-Angle Projection)
第一角法と第三角法は、立体と投影面の位置関係に基づく投影方法です。
- 第一角法:対象物を投影面の手前側に置く考え方で、平面図や側面図の配置が第三角法とは異なります。
- 第三角法:投影面を対象物と観察者の間に置く考え方で、見た方向と同じ側に対応する図を配置します。
両者では、図面上の各投影図の配置が異なります。図面を読むときは、慣習や地域だけで判断せず、図面に記載された投影法の記号を確認することが重要です。
寸法に関する用語
寸法(Dimension)
寸法は、部品の長さ、幅、高さ、直径、角度など、形状の大きさや位置関係を数値で示したものです。
CADではモデルの形状から寸法を取得できる場合もありますが、製造や検査で必要な寸法を図面上に適切に指示することは別の作業です。
寸法の数値だけでなく、どの部分を測るのか、どの面や軸を基準とするのかも明確でなければなりません。
寸法線・寸法補助線(Dimension Line / Extension Line)
寸法線は、寸法を示す範囲や方向を表す線です。寸法値と組み合わせて、どの距離や角度を指定しているのかを示します。
寸法補助線は、寸法の対象となる形状の位置から寸法線まで延ばす線です。
これらを適切に使い分けることで、図面上のどの部分が指定寸法に対応するのかを明確にできます。
断面図(Section View)
断面図は、対象物を仮想的な切断面で切ったものとして表現し、その内部形状を示す図です。
外観図だけでは分かりにくい穴、空洞、壁の厚さ、内部構造などを伝える際に使用します。実際に部品を切断するという意味ではなく、形状を分かりやすく示すための図面表現です。
公差に関する用語
寸法公差(Dimensional Tolerance)
寸法公差は、指定された寸法について許容される誤差の範囲です。
たとえば、ある部品の長さを (20.0\ \mathrm{mm})、許容範囲を (\pm 0.1\ \mathrm{mm}) と指定した場合、許容される寸法は19.9 mmから20.1 mmまでとなります。
公差を指定するのは、加工や測定に誤差が生じることを前提に、部品として許容できる範囲を明確にするためです。
一般公差(General Tolerance)
一般公差は、個々の寸法に公差を記載していない場合などに適用する、図面共通の公差規則です。
図面に適用する規格や公差等級などを指定することで、すべての寸法に個別の公差値を記載する手間を減らせます。
ただし、一般公差が適用される範囲は図面の注記や採用規格によって決まります。個別に公差が指定された寸法については、その指定を確認する必要があります。
幾何公差(Geometrical Tolerancing)
幾何公差は、寸法の大きさだけでは表現できない、形状や位置関係などの許容範囲を指定するものです。
たとえば、穴の直径が指定どおりでも、穴の中心位置がずれていたり、軸が傾いていたりすれば、組み立てに支障が出ることがあります。幾何公差は、このような問題を管理するために使われます。
代表的な分類は次のとおりです。
- 形状公差:平面度、真直度、真円度など、形状そのものを規制する。
- 姿勢公差:平行度、直角度、傾斜度など、基準に対する向きを規制する。
- 位置公差:位置度、同軸度など、位置関係を規制する。
- 振れ公差:回転させたときの振れを規制する。
これらの分類や個々の記号の意味は、適用する製図規格に従って判断します。
データム(Datum)
データムは、寸法や幾何公差を評価するための基準です。
たとえば、部品に複数の穴がある場合、それぞれの穴の位置をどこから測るのかを明確にする必要があります。基準となる面、軸、点などを定めることで、設計・製造・検査の間で位置関係を共有できます。
幾何公差では、データムを指定することによって、部品のどの部分を基準にして姿勢や位置を評価するのかを明示できます。
寸法公差と幾何公差の違い
寸法公差と幾何公差は、どちらも部品の精度を管理するためのものですが、規制する対象が異なります。
| 項目 | 寸法公差 | 幾何公差 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 長さ、直径、角度などの寸法 | 形状、姿勢、位置、振れなど |
| 目的 | 寸法の許容範囲を指定する | 形状や基準に対する関係の許容範囲を指定する |
| 例 | 軸径20 mm、許容差±0.1 mm | 穴の位置度、面の平面度 |
寸法が許容範囲内であることと、形状や位置関係が要求を満たしていることは同じではありません。必要な品質を確保するには、部品の機能に応じて両方を適切に指定する必要があります。
まとめ
CAD製図では、立体形状を伝える投影法、形状の大きさや位置を示す寸法、そして製造・検査で許容される範囲を定める公差を理解することが重要です。
特に、次の3点を区別しておくと、図面を読みやすくなります。
- 投影法:立体をどのように平面上に表現するか。
- 寸法:形状の大きさや位置関係をどのような数値で指定するか。
- 公差:指定された寸法や幾何学的な特性について、どこまでの誤差を許容するか。
これらは単にCADソフトを操作するための用語ではありません。設計意図を製造や検査に正確に伝え、部品が要求された機能を果たすための基礎知識です。
1,000社以上の事業成長を支えた圧倒的な『スピードと柔軟性』で、御社のアイデアを最短で形にします。まずは無料で壁打ちしませんか?



