急拡大するベトナムのペット市場!東南アジア最大級「Petfair Vietnam 2026」から読み解く背景(石黒が選ぶベトナムのニュース:2026/6/15)

現地で報じられているニュースを日本人の視点から読み解き、リアルな現地事情を紹介していく、石黒が選ぶベトナムのニュース紹介、第32回目。
今回は、2026年6月10日〜12日にベトナム・ホーチミン市で開催された東南アジア最大級のペット産業展示会「Petfair Vietnam 2026」の話題を中心に、急速な成長を遂げているベトナムのペット市場についてニュースを紹介します。
2026年6月10日のBao Phunu onlineニュース(原文はベトナム語)
ペットオーナーは、高級品への支出をますます増やしている。
1. 東南アジア最大規模のペット展示会「Petfair Vietnam 2026」が大盛況
今年の「Petfair Vietnam 2026」は、7,000平方メートル以上の広大な展示スペースに、韓国、中国、ヨーロッパなど世界20カ国・地域から250以上の企業が出展した大規模なイベントとなりました。会期中には1万2,000人を超える専門家や一般のペット愛好家が来場し、会場は非常に大きな熱気に包まれました。
会場内には最新のペット向け商品がズラリと展示されていましたが、中でも目を引いたのが「AIカメラ搭載の猫用スマートトイレ」です。

このトイレは、猫が使用した後にシステムが自動的に排泄物を撮影・分析し、異常を検知すると飼い主のスマホに通知してくれます。これによって、留守中であってもペットの健康状態を綿密に把握できるようになります。
他にも、ペット用のおもちゃ、アクセサリー、衣類が展示会の大部分を占めており、普段着からパーティー衣装、旧正月(テト)の衣装、さらには個性的なコスプレ衣装まで、多様なデザインのものが展示されていました。

他にもTikTokで「Miye Le Le」として26万1100人以上のフォロワーを持つ人気柴犬のミイェが、飼い主と共に登場するなど、ベトナムにおけるペットコミュニティの盛り上がりが伺えるイベントとなりました。
2. ニュースの背景にある「ベトナムのリアルな事情」
では、ベトナムにおけるペット市場とはどのような状況なのでしょうか?
この展示会の開催が発表された2026年4月22日のベトナム語ニュース「ベトナムにおけるペット保険の加入率は、多くの先進国と同程度に高い。」などから、そのリアルな数字を紐解いていきましょう。
2-1.急成長するベトナム市場:ペット保険の加入率はなんと22%!
現在、ベトナムには約1,200万〜1,400万匹のペットがいると推計されており、大都市圏においては世帯の約90%が少なくとも1匹のペットを飼育しているという驚きのデータ(推計)もあります。
ベトナムは東南アジアで最も急速に成長しているペット市場の一つであり、ユーロモニター・インターナショナルの報告によると、市場の年平均成長率は11%で安定して推移しています。
例えばペットフード市場を見ると、2025年の1億5,610万ドル(推定)から、2026年には1億6,798万ドル(予測)に達すると見込まれています。また、ベトナムの飼い主にとってペットの長期的な健康は最大の関心事であり、50%以上がペット用の健康食品や栄養補助食品を購入しているのが現状です。

さらに興味深いのは、調査においてベトナムでのペット保険の利用率が約22%に達しているという点です。この数字は、米国や英国といった先進国市場と同程度まで高まっており、ベトナムの飼い主の意識の高さが伺えます。
2-2.国内だけでは完結しない?ベトナムペット市場の課題
一方で、報道を深掘りしていくと、急成長するベトナム市場が抱える「課題」も見えてきます。それは、「市場の需要に対し、国内の加工技術が追いついておらず、外国の技術に依存している」という点です。
象徴的なのがペットフードの原材料です。メコンデルタ産の食用ナマズとして有名な「パンガシウス」は、ペットフードの原材料として韓国や日本へ大量に輸出されています。しかし、ベトナム国内での高度な加工が難しいため、一度輸出した原材料を外国でドッグフード等に加工してもらい、それを再びベトナムが「輸入」するというねじれ現象が起きています。

とはいえ、ペットフード市場自体は年14%〜20%で成長しており、特にEC(eコマース)プラットフォームにおいては年30%に達する超成長市場です。将来的にはベトナム国内での技術投資が進み、国産のプレミアムフードへと代替されていく可能性は十分にあります。
また、ペット医療(獣医学)の分野でも、皮膚科、循環器科、栄養学などの専門化が徐々に進んでおり、都市部の飼い主たちの高度なニーズに応え始めています。
3. 筆者(石黒)が注目したポイント:ペット市場から見える社会の変化
かつては「番犬(家を守る動物)」という扱いが一般的で、現在でも地方都市や農村部ではその傾向が残るベトナムですが、都市部においては完全に「家族の一員」へと変化しました。
このニュースを見て私が強く感じたのは、ペット市場がここまで爆発的に拡大した背景には、ベトナムの「少子化」「非婚化(単身者の増加)」「高齢化」というマクロな社会構造の変化があるのではないか、という点です。
ホーチミン市人口統計局が発表したデータ(2024年7月22日ベトナム語による発表)によると、同市内における平均初婚年齢は30.4歳となり、ベトナム国内で過去最高を記録しました(全国平均も27.2歳で年々上昇中)。また、同市の合計特殊出生数(大まかな目安)は女性1人あたり1.32人(その前年は1.42人)まで減少しています。
一方で、60歳以上の高齢者人口は110万人を超えて全体の12.5%を占めるようになり、前年の11%、過去数年の10%台から急速に高齢化のペースが上がっています。
これまでは「大家族」や「たくさんの子供たち」が賑やかに寂しさを埋めていたベトナム社会ですが、ライフスタイルの変化に伴い、その役割が「ペット」という存在に代わりつつあるのです。
このグラデーションは、日本や韓国、台湾、中国など、東アジアの国々がまさに歩んできた道そのものであり、ベトナムも今、同じフェーズに突入したと言えます。
今後ベトナムがさらにこの道を歩んでいく以上、日本企業がこれまで国内で培ってきた「高品質なペット用品」や「先進的なペット向けヘルスケア・サービス」には、非常に大きなビジネスチャンスが眠っているはずです。そんなベトナム市場の熱気と未来への可能性を強く感じさせるニュースでした。

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- 第4回目:8月19日(水)〜8月21日(金)
- 第5回目:9月9日(水)〜9月11日(金)
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