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経済成長の影で爆発する「ゴミ問題」から見えてくるビジネスチャンス(石黒が選ぶベトナムのニュース:2026/5/15)

経済成長の影で爆発する「ゴミ問題」から見えてくるビジネスチャンス(石黒が選ぶベトナムのニュース:2026/5/15)

現地で報じられているニュースを日本人の視点から読み解き、リアルな現地事情を紹介していく、石黒が選ぶベトナムのニュース紹介、第11回目。

ベトナムと聞いて、「急速な経済成長」「次々と建設される高層ビルや地下鉄」といったエネルギッシュな風景を思い浮かべる方は多いでしょう。しかし、その華々しい成長の裏側で、ある深刻な問題が限界点に達しようとしています。

今回は、ベトナム社会が現在直面している「ゴミ・廃棄物問題」と、そこから生まれる巨大なビジネスチャンスを象徴する2つのニュースを紹介します。

2026年5月11日のVnEconomyニュース(原文はベトナム語)
建設廃棄物は急増しており、年間1000万トン近くに達している。

2026年5月13日のVnEconomyニュース(原文はベトナム語)
廃棄物管理の問題に取り組むことで、環境に優しい都市を構築する。

1. 爆発的に増え続ける「建設ゴミ」と「生活ゴミ」の山

今回取り上げるのは、都市化と経済成長がもたらした「廃棄物問題」です。

1つ目の記事によると、ベトナム全土における建設廃棄物(がれきやコンクリート片など)の量は、2010年には年間190万トンでしたが、2025年には約960万トンへと、わずか15年間で5倍近くに激増したことが報じられています。

建設廃棄物の処理場に関する報道より

推計によると、2024年のハノイにおける建設廃棄物の量は1日あたり約2,098トンに達し、廃棄物全体の25%を占めると予想されてます。

またハノイ土木工科大学建築材料学科長のヴァン・ヴィエット・ティエン・アン准教授は、ベトナムでは建設廃棄物の量が急速に増加しており、都市廃棄物全体の10~12%(1日あたり約6万トン)を占め、主要都市では20~25%に達することもあると強調しています。

この背景にあるのは、ハノイやホーチミンといった大都市での新築・改築・解体ラッシュです。

また、2つ目の記事では、ハノイにおける生活ゴミの増加が、都市インフラと環境に限界を超える圧力をかけていると報じています。

ハノイの家庭ごみ収集料金値上げに関する報道より

これに対し、ハノイ市は「2030年までに、集中処理施設に運ばれる生活ゴミの100%を、焼却発電や高度な技術を用いて処理する」「不法投棄による環境汚染のブラックスポットを100%撲滅する」という非常に野心的な目標を掲げ、ゴミ管理の近代化と循環型(グリーン)都市への転換を急いでいます。

2. ニュースの背景にある「ベトナムのリアルな事情」

なぜ今、ゴミ問題がここまで深刻化し、政府が急ピッチで対策に乗り出しているのでしょうか?現地にいるからこそ肌で感じる、3つのポイントを紹介します。

2-1. リサイクルを支えてきた「インフォーマルセクター(廃品回収)」の限界

ベトナムの街角では、民間・個人の廃品回収業者の人々が自転車やリヤカーに乗って「ベチャイ(Ve chai)」と呼ばれる段ボールや空き缶、金属などの資源ごみを回収していく姿が日常的に見られます。これまでベトナムのリサイクルは、こうした草の根のエコシステムに大きく依存してきました。

廃品回収についての報道より

しかし、急激な消費社会への移行により発生する大量のプラスチックゴミや、巨大な建設プロジェクトから出る重機材・コンクリート片などの産業廃棄物は、もはやこれまでの方法で処理できるキャパシティを完全に超えてしまったといえます。

2-2. ゴミの「分別ルール」の未成熟と不法投棄

日本では「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「資源ごみ」などを細かく分けるのが当たり前ですが、ベトナムではこれまでゴミの分別がほとんど義務化されていませんでした(近年ようやく環境保護法が改正され、段階的に分別が始まろうとしています)。

リサイクルやゴミ分別についての記事より

そのため、すべてがごちゃ混ぜのまま埋め立て地に運ばれ、悪臭や土壌・水質汚染の原因となっています。

また、処理コストを浮かすために、深夜に郊外の空き地や川沿いに建設ゴミを不法投棄する業者が後を絶たず、深刻な社会問題化しています。

2-3. 急ピッチで進む「スクラップ&ビルド」

ハノイやホーチミンでは、古い建物や数十年前に建てられた低層の集合住宅が次々と取り壊され、巨大なタワーマンションや商業施設へと生まれ変わる再開発が進んでいます。

建設廃棄物のリサイクルを伝える記事より

この「スクラップ&ビルド」に伴って発生する建設廃材(コンクリート、レンガ、モルタル、土、汚泥(70~90%))の量は日々すさまじい勢いで増え続けています。

3. 筆者(石黒)が注目したポイント

このニュースから見えてくるのは、「環境・廃棄物処理インフラ」という分野における日本企業にとっての巨大なビジネスチャンスです。

日本は高度経済成長期に深刻な公害やゴミ問題を経験し、それを乗り越え、限られた国土の中で世界最高水準の廃棄物処理・リサイクル技術を築き上げてきた歴史があります。

例えば、以下のような分野においてベトナムにおける新規ビジネス、その可能性が考えられるのではないでしょうか?。

◆廃棄物発電(Waste-to-Energy)技術:
ただ埋め立てるだけでなく、ゴミを燃やしてその熱で発電する日本の高度な焼却炉技術。ハノイ市が目標に掲げる「2030年までに100%高度処理」を実現するためには、外資の技術力と投資が不可欠と考えられます。

◆建設廃棄物の再資源化(リサイクル)技術:
コンクリートの廃材を粉砕し、新しい道路の路盤材や再生骨材として再利用する技術。これからさらにインフラ整備が進むベトナムにおいて、資源の有効活用とゴミ削減を同時に叶えるソリューションとして需要が高まっています。

◆Smart Waste Management(IoTを活用したゴミ収集):
ゴミ箱の蓄積状況をセンサーで検知し、最適なルートでゴミ収集車を走らせるなど、ITを用いた都市のゴミ収集効率化システム。

これまでのベトナムでは「どんどん作って建てる」ことに全力で資金と労力を注いできました。しかし現在、その成長の「ツケ」とも言えるゴミ問題に直面し、国を挙げて「持続可能なグリーン都市」へと舵を切ろうとしています。

この変化は、日本の環境技術・インフラ輸出においてチャンスとも言えます。

ベトナムの経済成長を「作る」側から、「守り、循環させる」側へ。そんな新しい視点でベトナム市場を見つめ直す機会でもあると感じたニュースでした。

石黒健太郎による「ベトナム経済ニュース」最新記事一覧はこちら

Articles by Kentaro Ishiguro(石黒健太郎) | Vitalify Asia Tech Blog
東南アジア駐在16年超、複数国で拠点立ち上げから経営までを歴任。ベトナムでのシステム開発の勘所から最新ビジネス事情まで、現地在住者ならではの視点で発信している。趣味はバックパッカー旅行。自らの足で稼いだリアルな情報も交え、企業の海外進出を後押しする。

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コラム | バイタリフィアジア
コラム記事一覧|オフショア開発やシステム開発の最新トレンド、成功のヒントを発信。経営層・開発担当者に役立つ情報をまとめています。

現地の「今」を肌で捉え、確実な事業戦略を描くために

今回ご紹介した内容だけでなく、ベトナム市場にはインターネット上の情報だけでは見えてこない「リアルなビジネスチャンス」と「新興国特有の落とし穴」が無数に存在します。

自社の技術やサービスをベトナムでどう展開すべきか?開発拠点や販売拠点を設立するには何から着手すべきか?

そうした課題を解決し、ベトナム出張を「確かな成果(実践プラン)」へと繋げるための特別なプログラムが開催されます。

実践型ビジネス出張ツアー「Ăng-Ten(アンテン)」

ベトナム拠点・IT開発センター設立の実践視察ツアー【Ăng-Ten】
現地プロ7社とのアポ調整・ホテル・移動がすべて完了。ベトナム出張が決まった新規事業担当者へ向けた、確かな判断材料を持ち帰るための超実践的ビジネスツアー。

「Ăng-Ten(アンテン、ベトナム語でアンテナを意味)」は、ベトナム最大の経済都市・ホーチミン市を実際に訪れ、現地で長年ビジネスを営む7名の専門家と直接つながる、2泊3日の密度の高いビジネス出張ツアーです。

💡 本ツアーで得られる3つの価値

  1. 誰に会うべきかが見える:法務(弁護士)・採用・金融(銀行)・BtoB営業・不動産など、現地で接点を持つべきスペシャリストと直接議論ができます。※弊社バイタリフィ アジアのDirector 石黒も、オフショア開発の専門家(講師)として本ツアーに登壇いたします!
  2. 何から着手すべきかが整理される:すべて日本語での実践講義を通じて、拠点設立に必要な実務の順番と、見落としやすい注意点(成功例・失敗例)をまとめて持ち帰れます。
  3. 帰国後の相談先(人脈)が確保できる:質疑応答や後日の個別面談を通じて、自社の悩みを直接ぶつけることができ、帰国後すぐに動ける体制が整います。

【開催スケジュール(2026年)】

  • 第1回目:5月27日(水)〜5月29日(金)
  • 第2回目:6月17日(水)〜6月19日(金)
  • 第3回目:7月15日(水)〜7月17日(金)

※オプションで航空券の手配や延泊(観光・ゴルフ等)のご相談も可能です。

急成長するベトナム市場への進出や、新規事業の拠点設立をミッションとして任された皆様。事前情報だけで判断するのではなく、ぜひ現地の最前線を自分の目で確かめに来てください。ホーチミンでお会いできることを楽しみにしています!

▼お申し込み・スケジュール詳細はこちら

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