データで読み解くベトナム情報通信産業の市場規模:ハードウェア輸出からソフトウェア・オフショア開発への拡大

日本をはじめ世界中の企業からオフショア開発の拠点として、また巨大な消費市場として注目を集めるベトナム。
今回は、ベトナムの情報通信産業(ICT)全体の総売上高や、オフショア開発(ソフトウェア輸出)の市場規模が、国のマクロ経済(GDP)においてどのような立ち位置にあるのかを紐解いてみます。
1. ベトナム経済における情報通信産業(ICT)の圧倒的な存在感
2019年のベトナム情報通信省の発表などによると、同年のベトナムICT業界の総売上高は約1,123億5,000万ドル(当時のレートで約12兆2,300億円)に達しました。
日本の企業で例えるなら、当時のNTT(約11.8兆円)と日本郵政(約12.7兆円)の間に匹敵する巨大な規模です。
2019年のベトナム国全体のGDPが約2,590億ドル(約28兆2,400億円)であったことを踏まえると、ICT産業が国の経済を牽引する極めて重要な基幹産業であることが分かります。
総売上高の推移を見ても、凄まじいペースで成長を遂げていました。
- 2016年:680億ドル
- 2017年:758億ドル
- 2018年:1,023億ドル
- 2019年:1,123億ドル
国としても、ICT産業の拡大とそれに伴う税収増は、もっとも推し進めるべき国家戦略の一つとなっています。
2. ハードウェア輸出に依存する構造とオフショア開発の市場規模
しかし、この1,123億ドルという巨大な売上には、「ハードウェア」と「輸出」に極端に偏っているという構造的な特徴がありました。

2019年のICT産業の輸出総額は915億ドルであり、総売上の約81.5%が国外への輸出によって稼ぎ出されたものです。さらに、その輸出の大部分(98%)は、Samsungなどの外資系企業によるスマートフォン等のハードウェア製造・輸出が占めていました。

一方、ソフトウェア業界(オフショア開発など)の総売上は50億ドルに留まり、ICT全体の約4.5%とまだ規模は小さい状態でした。当時のデータからベトナムの「ソフトウェア輸出(オフショア開発)」の市場規模を推計すると、およそ4,100億円~4,400億円規模のマーケットであったと考えられます。
3. ベトナム国内のデジタルコンテンツ市場の課題
では、ベトナム国内市場におけるデジタルコンテンツサービス(アプリやWebサービスなど)はどれくらい稼いでいたのでしょうか。当時のデータから推計すると、ベトナム企業によるデジタルコンテンツの国内売上はわずか約65億円規模に過ぎませんでした。

ニュースでも報じられていた通り、ベトナム国内のデジタル広告やコンテンツ収益の大部分は、Google、Apple、Facebookといったグローバルプラットフォーマーに吸い上げられているという課題がありました。ベトナム政府は、地場企業によるデジタルコンテンツ収益を拡大するための支援策を強化していく方針を打ち出していました。
4. マクロ視点から見るベトナムIT産業のポテンシャル
ベトナム政府は当時、「2025年までに情報通信産業の輸出総額を1,200億ドル、IT企業数を5万社、ICT従業員数を130万人にする」という野心的な国家計画を掲げていました。ハードウェア製造拠点としての地位を強固にしつつ、ソフトウェア開発(オフショア)と国内向けデジタルサービスの付加価値を高めていくというシナリオです。

バイタリフィアジアでは、2008年からの長きにわたるベトナムでの事業経験を活かし、日本企業のシステム開発を担うオフショア開発拠点としてだけでなく、ベトナム国内市場をターゲットとしたITサービスのテストマーケティングやビジネス進出の支援も行っております。グローバルな視点でITビジネスの展開をお考えの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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