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ドメイン駆動設計(DDD:Domain-Driven Design)入門:ビジネスと開発の橋渡し

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Vitalify Asia Team2017/10/26
ドメイン駆動設計(DDD:Domain-Driven Design)入門:ビジネスと開発の橋渡し

システム開発において、「顧客が本当に実現したい業務(ビジネス要件)」と「実際に書かれるプログラムコード」の間にズレが生じてしまうことは、多くのプロジェクトが抱える永遠の課題です。

この課題を解決するための強力なソフトウェア開発手法として注目されている「Domain-Driven Design(DDD:ドメイン駆動設計)」について、初心者目線でその基礎概念を解説します。

Domain-Driven Design(DDD)とは何か?

ドメイン駆動設計(DDD)は、Eric Evans(エリック・エヴァンス)氏が提唱したソフトウェア開発の設計手法です。

一言で表すと、「ソフトウェアが対象とする業務領域(ドメイン)の知識を深く理解し、その業務の専門家(ドメインエキスパート)と開発者が共通の言語を用いて、業務の概念をそのままプログラムの設計(モデル)に落とし込む手法」です。

  • Domain(ドメイン):ソフトウェアが解決しようとしている業務領域や知識領域。(例:金融システムなら「口座」「送金」「金利」、ECサイトなら「カート」「注文」「在庫」など)
  • Model(モデル):そのドメインの複雑な知識の中から、ソフトウェアの解決に必要な要素だけを抽象化し、整理した概念。

DDDが解決しようとする課題

従来の開発手法(特にデータベース駆動やデータ中心アプローチ)では、「まずはデータベースのテーブル定義(ER図)を設計し、それに合わせてプログラムの処理(ロジック)を書いていく」というプロセスが一般的でした。

しかし、この手法で複雑な業務システムを構築すると、以下のような問題が発生しがちです。

  • 業務のルール(ビジネスロジック)が、画面のコントローラーやデータベース操作のコードの中に散財してしまい、「どこに何が書かれているか」が分からなくなる。
  • 業務担当者(顧客)が語る言葉と、プログラマーが書くコードの構造が乖離しているため、仕様変更の際にどこを直せばいいのか影響範囲が見えなくなる。
  • 結果として、長期的にはメンテナンス不可能な「巨大な泥団子(Big Ball of Mud)」のようなシステムが出来上がってしまう。

DDDは、システムの「核」となる部分をデータベースやフレームワークといった技術的詳細から切り離し、「純粋な業務のルール(ドメインモデル)を中心にソフトウェアを設計する」ことで、この複雑性に立ち向かおうとするアプローチです。

DDDを支える重要な概念

DDDを理解する上で、不可欠な2つの重要な概念を紹介します。

ユビキタス言語(Ubiquitous Language)

ユビキタス(至る所に存在する)言語とは、「業務の専門家(顧客)と開発チーム全員が、プロジェクトのあらゆる場面で共通して使う、厳密に定義された言葉」のことです。

例えば、ECサイトの構築において「商品」という言葉が、在庫管理担当者にとっては「倉庫にある物理的な在庫」を意味し、マーケティング担当者にとっては「カタログに載せる説明文や画像」を意味することがあります。この言葉のブレが、バグや仕様の誤解を生みます。

DDDでは、会話、仕様書、そして「プログラムのクラス名や変数名」に至るまで、全員が合意した同じ「ユビキタス言語」を使用することを徹底し、認識のズレを防ぎます。

境界づけられたコンテキスト(Bounded Context)

1つの巨大なシステムの中で、全ての言葉の意味を完全に統一するのは不可能です。先ほどの「商品」のように、部門(文脈)によって言葉が持つ意味や重要な属性は変わります。

そこで、「言葉の意味が統一して適用される範囲(コンテキスト)に明確な境界を引く」という考え方が「境界づけられたコンテキスト」です。巨大なシステムを、在庫管理コンテキスト、注文コンテキスト、決済コンテキストなどに分割し、それぞれの境界内で独立したモデルを設計することで、複雑さをコントロールします。(この概念は、昨今のマイクロサービスアーキテクチャの設計思想にも大きな影響を与えています)

エンタープライズ開発とDDDの親和性

DDDは、「複雑な業務要件を持つエンタープライズ(業務系)システム」の開発において、その真価を発揮します。逆に、単純なCRUD(データの作成・読み取り・更新・削除)で済むような簡易なWebサービスにDDDの厳密な戦術的パターン(Entity, Value Object, Repository等)を無理に適用すると、過剰設計(オーバーエンジニアリング)となり開発スピードを落とす原因になります。

バイタリフィアジアのエンタープライズ開発チームでは、日本の大手企業向けの複雑な業務システム構築において、こうしたアーキテクチャの知見を活かし、メンテナンス性が高く堅牢なシステムを開発しています。

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