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国境を越えるQR決済・急速なデジタル化から見えてくるものとは?(石黒が選ぶベトナムのニュース:2026/5/5)

国境を越えるQR決済・急速なデジタル化から見えてくるものとは?(石黒が選ぶベトナムのニュース:2026/5/5)

現地で報じられているニュースを日本人の視点から読み解き、リアルな現地事情を紹介していく、石黒が選ぶベトナムのニュース紹介、第3回目。

皆さんは「ベトナムでの買い物」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべますか?

「ベトナムドンという桁数の多い紙幣の束を持ち歩く」「市場で現金を使って値段交渉をする」といった印象を持つ方が多いのではないでしょうか。

確かにそういう一面も継続していますが、現在のベトナムはそこから「一足飛び(リープフロッグ)」した渡航外国人も使えるスマホ決済化という一面も見えてきます。今回は、そんなベトナムの急速なデジタル化を象徴するニュースを紹介します。

2026/4/29のCafefニュース (原文はベトナム語)
国境を越えた決済が急増している

1.両替不要!「渡航者のスマホ決済サービス」がそのまま使える事を打ち出したベトナム

日本でもここ10年近くで一気に広がったQR決済。ベトナムでも時を同じくして、様々なスマホ決済サービスが急速に広がりました。

例えば、日本のみずほ銀行が出資するMサービス社の「MoMo」、ベトナムで広く使われている(日本でいうLINEの様)に利用者の多いZaloが提供する「ZaloPay」、そしてベトナムのほぼすべての銀行口座とリンクして口座から直接支払いができる「VietQR」。

ベトナムや東南アジアで使われている主要なQR決済(VietnamFintechNewsより)

この市場環境の変化を受けて、ベトナムへの渡航者向け「国境を越えるQRコード決済(越境決済)」が始まったという報道です。

記事によると、韓国や中国からの旅行者(または現地在住者)が、ベトナム国内の何十万もの店舗で、自国で使い慣れたスマホ決済アプリをそのまま使って買い物ができるようになったとあります。

韓国の場合は、韓国トップの外国為替銀行であるKEBハナ銀行の子会社であるGLN Internationalの提供により、韓国内で使われている決済アプリ(GLNに接続されたパートナーアプリを含む)を使い、ベトナムの店舗に置かれている「VietQR(ベトナムの統一QRコード)」を読み取るだけで決済完了します。

GLNがベトナムの全国QRネットワークに接続、全国規模のQR決済を可能に(KYODONEWSより

中国の場合は、2026年4月初旬から同国を代表する決済手段である「Alipay」を使って同じことができる様になったということです。

いずれも裏側では、ベトナムの国家決済ネットワーク「NAPAS」と両国の金融サービスが連携しており、為替レート(韓国ウォンとベトナムドン、人民元とベトナムドン)がリアルタイムで計算され、直接引き落とされます。つまり、旅行者はわざわざ現金を両替する必要がなく、店舗側も新たな決済端末を導入するコストが一切かからないという特徴があります。

またこの越境QR決済は、NAPAS側の計画によると中国、韓国だけでなく、タイ、ラオス、カンボジアとも接続されており、今後さらに多くの国へと拡大していく計画とあります。

2. ニュースの背景にあるベトナムの状況

さて今回の報道、現地にいるからこそ肌で感じる3つのポイントがあります。

2-1. QR決済の浸透

現在、ホーチミン市やハノイなどの都市部では、1杯約100円の路上カフェのコーヒーや、バインミー(ベトナム風サンドイッチ)の屋台、さらには市場の八百屋に至るまで、ありとあらゆる場所に支払い用のQRコードが印刷された紙やプラスチックのプレートが置かれています。

ベトナムのQR決済の浸透を報じるニュースより

スマートフォンさえあれば、1日中財布を開くことなく生活することが可能です。都市部の若年層の間では、現金を持ち歩かずに全てスマホでという人も増えており、QR決済がビジネスに溶け込んできていることを象徴する様なニュースでもあります。

2-2. 手数料無料or格安と、統一規格がもたらした爆発力

なぜここまで急速に普及できたのか。それは、異なる銀行間であっても、24時間365日、即座に送金・決済ができ、しかも「手数料が無料(または極めて低額)」という特徴があるからです。このインフラが国(NAPAS)主導で一気に整備され、「VietQR」という規格に統一されたことで、個人商店も利用者もためらうことなく導入できたと考えられます。

2-3. 変化の速さ

日本では長い時間をかけて「現金 → クレジットカード・SUICAなどの電子マネー → スマホ決済」と順を追って発展してきましたが、ベトナムではクレジットカードの普及率が低いまま、いきなり「QRコード決済(銀行口座からの直接送金)」が爆発的に普及し、さらに短期間で越境QRへという流れとなっており、ベトナムにおける変化の速さを実感できる出来事の1つです。

3. 筆者(石黒)が注目したポイント


今回、ベトナムで越境QR決済に対応した国は、韓国と中国です。なぜこの両国なのか?それは、ベトナムへの渡航者の多い国、上位2ヵ国だからです。

ベトナムへの渡航者数を報じているニュース記事より

2025年にベトナムへ入国した渡航者は、1位が中国で約528万人、2位が韓国(上記図ではROKと表記)で約433万人、3位が台湾で約123万、4位がアメリカで約84万、そして5位に日本が81万となります。

中国は陸路で国境を接しているが故に渡航者が多いという事情はありますが、べトナムからの距離が日本とほぼ同じくらいある韓国の渡航者は、日本の5倍以上となります。

実際に2026年第1四半期(1~3月)だけで、中国から約140万人、韓国から約132万人もの旅行者がベトナムを訪れており、このQR決済の仕組みが広がることで、ベトナムの観光やビジネスにおいてもすぐに効果が期待できる、メリットが大きく優先順位が高い国と考えられます。

ベトナムにおいて日々実感するのは、日本よりも中国や韓国といった国(企業)の存在感の大きさです。

ベトナムへビザなしで渡航できるのは、世界でわずか13ヵ国(日本、韓国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、ロシア、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、ベラルーシ)しかありません。

よって中国国籍者はベトナム入国にあたってビザが必要であるのに対し、日本国籍者は、観光や商用目的においてビザ無し(パスポートだけ)でベトナムに最大45日滞在できます。しかし現状、それが十分に活かしきれていないともいえます。

ただ視点を変えれば、先行している中国や韓国の会社がベトナムをどのように開拓しているのか、それを探り、自社の進出にあたっても参考にできるとも言えます。

ベトナムにおける急速なデジタル化と、中国や韓国と比べた時の日本の存在感、これを感じさせるニュースでした。

石黒健太郎による「ベトナム経済ニュース」最新記事一覧はこちら

Articles by Kentaro Ishiguro(石黒健太郎) | Vitalify Asia Tech Blog
東南アジア駐在16年超、複数国で拠点立ち上げから経営までを歴任。ベトナムでのシステム開発の勘所から最新ビジネス事情まで、現地在住者ならではの視点で発信している。趣味はバックパッカー旅行。自らの足で稼いだリアルな情報も交え、企業の海外進出を後押しする。

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コラム | バイタリフィアジア
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現地の「今」を肌で捉え、確実な事業戦略を描くために

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自社の技術やサービスをベトナムでどう展開すべきか?開発拠点や販売拠点を設立するには何から着手すべきか?

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実践型ビジネス出張ツアー「Ăng-Ten(アンテン)」

ベトナム拠点・IT開発センター設立の実践視察ツアー【Ăng-Ten】
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