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「人気だから買う」から「価値あるから買う」へ!ベトナム消費行動の変化とは(石黒が選ぶベトナムのニュース:2026/5/29)

「人気だから買う」から「価値あるから買う」へ!ベトナム消費行動の変化とは(石黒が選ぶベトナムのニュース:2026/5/29)

現地で報じられているニュースを日本人の視点から読み解き、リアルな現地事情を紹介していく、石黒が選ぶベトナムのニュース紹介、第21回目。

皆さんは「ベトナムの消費者」と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか? 「経済成長を背景に購買意欲が旺盛」「SNSのトレンドに乗って若者がどんどんモノを買う」といった、右肩上がりのポジティブな姿を思い浮かべる方が多いと思います。

確かに長期的なトレンドとしてはその通りですが、直近の報道を見ると、ベトナムの消費者は今、かつてないほどシビアに「お財布の紐」を締め、衝動買いから卒業しつつあると報じられています。ベトナム市場の変化と進出にあたってのヒントとなるニュースを紹介します。

2026年5月27日のThe Gioi Tiep Thi(マーケティングの世界)(原文はベトナム語)
ベトナムの消費者は衝動買いから離れつつある

1. 衝動買いから価値の見極めへと変化

今回のニュースは、5月22日にホーチミンで開催された「2026年の消費者動向とESG:企業はどのように適応すべきか」と題されたセミナーでの講演によるものです。

世界的な市場調査会社NielsenIQ(ニールセンIQ)が発表した、最新の消費者動向データによると、「消費を切り詰めている」と回答したベトナムの消費者は2025年の43%から上昇し、2026年は57%とあります。

ベトナムの消費者はお金の使い方にこれまで以上に注意を払う(ベトナム語のニュースより

同時に注目すべきは、消費者の「マインドの変化」です。

これまでのように「バズっているから」「ホットなトレンドだから」という理由だけで感情的に消費する(衝動買いする)傾向が急速に薄れており。消費者は購入ボタンを押す前に、「本当に良いものか?」「長く使えるか?」「払う金額に見合う価値(リアルバリュー)があるか?」を立ち止まって厳しく問いかけるように変化しているとのことです。

2. ニュースの背景にある「ベトナムのリアルな事情」

なぜ、成長著しいはずのベトナムで、消費者はここまで慎重になっているのでしょうか?現地にいるからこそ肌で感じる、3つの事実を紹介します。

2-1. インフレによる生活防衛と「見栄より実利」へのシフト

ベトナムのインフレ率ですが
・2023年:3.25%
・2024年:3.62%
・2025年:3.31%

と昨年くらいまでは安定して推移していましたが、2026年1~4月の平均は3.99%と上昇し、4月は前年比で5.46%まで上昇しました。中東情勢次第では年間で5%超となる可能性もあり、これは政府の目標である4.5%を上回る数値です。

特に食品や燃料費、医療費などの生活必需品のコスト上昇が一般市民の家計を直撃しています。その結果、ホーチミン市の調査では、衣類、パーソナルケア、外食への支出を削減していることが分かっています。

「賢い支出とは?効果的な支出のための7つのヒント。」(ベトナム語のサイトより

全体として消費を切り詰めているものの、調査ではベトナム人の86%が「価格よりも品質を優先する」と回答しています。

Z世代から都市部の中間層に至るまで、生活費の圧力から家計管理を厳格化しており、「安さを求める」というよりは「真の価値(耐久性や健康への貢献など)」をシビアに探すようになっています。

2-2. ライブコマース疲れ?「実店舗での体験」への回帰

ベトナムでもTikTokやShopeeなどでの派手なライブコマース(ライブ配信販売)が猛威を振るってきましたが、消費者は誇張された広告や「残りわずか!」といった煽り文句に騙されなくなりつつあります。

ベトナムでのライブ配信販売についての報道(ベトナム語のニュースより

むしろ、製品の品質を自分の目でしっかりと確かめるために「実店舗(フィジカルストア)に戻って体験する」という回帰現象が小売業界で確認され始めています。オンラインの感情的な盛り上がりだけで財布を開く時代は終わりを告げようとしています。

2-3. 「品質・健康」と「実利を伴うESG」へのシビアな視点

また、環境配慮やESG(環境・社会・ガバナンス)への関心も高まっていますが、ベトナムの消費者は極めて現実的です。

いくら「地球に優しいエコな商品」と謳っていても、品質が伴っていなかったり、価格が高すぎたりすれば、お金を払いません。企業側も、単に高額なESG認証をお金で買うのではなく、廃棄物管理や労働環境の改善といった「実質的で透明性のある取り組み」が求められるようになっています。

3. 筆者(石黒)が注目したポイント

これらのニュースから見えてくるのは、ベトナム市場がもはや「何でも作って煽れば売れる」というステージを終え、より成熟したシビアな競争市場への移行です。

これは、ベトナムへ進出する際の戦略において、以下のような極めて重要なヒントを与えてくれます。

  • 「本質的な価値(耐久性・品質)」の訴求: 消費者が衝動買いをやめ、長く使えるものや健康に良いものを吟味し始めた今、「壊れにくさ」「安全・安心」という本質的な価値が、これまで以上に強力な武器になります。
  • オンラインとオフライン(実店舗)の融合戦略: 派手なネット広告や値引きキャンペーンへの反応が鈍る中、実際に製品を手に取って品質を確信できる「オフラインの体験の場(ショールームや実店舗でのポップアップなど)」をいかに提供できるかが、購入の最後の後押しとなりえます。
  • 上辺だけではないサステナビリティの実践: 環境配慮やESGの取り組みは必須になりつつありますが、消費者はその「中身」をシビアに見ています。コスト削減にもつながるような実質的な無駄の排除や、透明性の高いサプライチェーンの構築が、結果として顧客の深い信頼獲得に繋がるという点です。

「消費を切り詰める」「衝動買いから一度価値を考えてから買う」という状況は、一見ネガティブにも聞こえる要素です。しかし、消費者が成熟し「本当に価値のあるものだけを厳選するようになった」と考えれば、高品質と信頼を武器とする日本企業にとって、これほど実力が正当に評価される市場はないとも言えます。

ベトナム市場の「今」の体温を正確に測り、的確な価値を届けることの重要性を教えてくれるニュースでした。

石黒健太郎による「ベトナム経済ニュース」最新記事一覧はこちら

Articles by Kentaro Ishiguro(石黒健太郎) | Vitalify Asia Tech Blog
東南アジア駐在16年超、複数国で拠点立ち上げから経営までを歴任。ベトナムでのシステム開発の勘所から最新ビジネス事情まで、現地在住者ならではの視点で発信している。趣味はバックパッカー旅行。自らの足で稼いだリアルな情報も交え、企業の海外進出を後押しする。

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コラム | バイタリフィアジア
コラム記事一覧|オフショア開発やシステム開発の最新トレンド、成功のヒントを発信。経営層・開発担当者に役立つ情報をまとめています。

現地の「今」を肌で捉え、確実な事業戦略を描くために

今回ご紹介した内容だけでなく、ベトナム市場にはインターネット上の情報だけでは見えてこない「リアルなビジネスチャンス」と「新興国特有の落とし穴」が無数に存在します。

自社の技術やサービスをベトナムでどう展開すべきか?開発拠点や販売拠点を設立するには何から着手すべきか?

そうした課題を解決し、ベトナム出張を「確かな成果(実践プラン)」へと繋げるための特別なプログラムが開催されます。

実践型ビジネス出張ツアー「Ăng-Ten(アンテン)」

ベトナム拠点・IT開発センター設立の実践視察ツアー【Ăng-Ten】
現地プロ7社とのアポ調整・ホテル・移動がすべて完了。ベトナム出張が決まった新規事業担当者へ向けた、確かな判断材料を持ち帰るための超実践的ビジネスツアー。

「Ăng-Ten(アンテン、ベトナム語でアンテナを意味)」は、ベトナム最大の経済都市・ホーチミン市を実際に訪れ、現地で長年ビジネスを営む7名の専門家と直接つながる、2泊3日の密度の高いビジネス出張ツアーです。

💡 本ツアーで得られる3つの価値

  1. 誰に会うべきかが見える:法務(弁護士)・採用・金融(銀行)・BtoB営業・不動産など、現地で接点を持つべきスペシャリストと直接議論ができます。※弊社バイタリフィ アジアのDirector 石黒も、オフショア開発の専門家(講師)として本ツアーに登壇いたします!
  2. 何から着手すべきかが整理される:すべて日本語での実践講義を通じて、拠点設立に必要な実務の順番と、見落としやすい注意点(成功例・失敗例)をまとめて持ち帰れます。
  3. 帰国後の相談先(人脈)が確保できる:質疑応答や後日の個別面談を通じて、自社の悩みを直接ぶつけることができ、帰国後すぐに動ける体制が整います。

【開催スケジュール(2026年)】

  • 第2回目:6月17日(水)〜6月19日(金)
  • 第3回目:7月15日(水)〜7月17日(金)

※オプションで航空券の手配や延泊(観光・ゴルフ等)のご相談も可能です。

急成長するベトナム市場への進出や、新規事業の拠点設立をミッションとして任された皆様。事前情報だけで判断するのではなく、ぜひ現地の最前線を自分の目で確かめに来てください。ホーチミンでお会いできることを楽しみにしています!

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