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約30億ドルに迫り拡大を続けるベトナムの美容・パーソナルケア市場(石黒が選ぶベトナムのニュース:2026/7/17)

約30億ドルに迫り拡大を続けるベトナムの美容・パーソナルケア市場(石黒が選ぶベトナムのニュース:2026/7/17)

現地で報じられているニュースを日本人の視点から読み解き、リアルな現地事情を紹介していく「石黒が選ぶベトナムのニュース紹介」、第56回目。

今回のテーマは、ベトナムの国内消費市場において伸びている分野の1つである「美容・パーソナルケア市場」です。

市場拡大の背景にあるのは、単に国民の所得が増えたというだけでなく、市場が求めるニーズの変化に企業がスピード感を持って応えてきたという点にあります。現地メディアなどで報じられたデータをもとに、急拡大する市場のリアルについて紹介します。

2026年7月11日 Dân trí 報道(原文はベトナム語)
男性の贅沢な消費により、ベトナムの美容業界は30億ドル規模に達した。

1. ベトナムの美容・パーソナルケア市場規模

まず、ベトナムの美容・パーソナルケア市場全体の規模感を見ていきましょう。

日本のJETROが2026年3月に発表した「ベトナムにおける化粧品市場に関する調査(2025年度)」では、Statista社のデータを活用し、以下のような形で右肩上がりに推移してきたことが示されていました。

一方で、先日の Dân trí 紙の最新報道によると、2025年のベトナム美容市場規模は(JETROと若干の数字の違いはあるものの)約27億4,000万ドルと予測されており、このうち12億ドル分が、個人の肌悩みや状態に合わせて行うスキンケアやお手入れといった「パーソナルケア」領域と見込まれています。

そして同紙の報道によると、市場は今後さらに拡大して約30億米ドル(約4,800億円)規模に達すると予測されています。2029年までの美容・パーソナルケア全体の年平均成長率(CAGR)予測は約3.3%となっていますが、Kantar Worldpanel Vietnamのデータによると、パーソナルケア単独で見た場合は12%ほど増加しているという予測もあり、自身の外見へと能動的に投資をするパーソナルケア市場に大きな注目が集まっています。 

2. ニュースの背景にある「ベトナムのリアルな事情」:

これほどまでに市場が拡大している背景には何があるのでしょうか。

2026年7月10日に開催された「DKSHビューティーショー2026」において、DKSHグループの化学品部門パーソナルケア担当副社長であるミシェル・デラック氏が登壇。拡大の最大の原動力として、「拡大する中間層、若年層人口の多さ、デジタル(EC)プラットフォームの人気、そしてKビューティー(韓国美容ブランド)の強い影響力」といった点を挙げていました。(2026年7月12日のVNEXPRESS報道より

しかし、現地の他の様々な報道を深掘りしていくと、さらに以下の「2つの新しい要素」が市場を突き動かしていることが分かります。

2-1. 外見は自己投資の一環:男性のメンズケア消費

1つ目は、男性が顧客層として台頭してきている点です。

これまで美容やスキンケアは主に女性のものと考えられていたベトナムですが、現在では都市部の若者やビジネスパーソンを中心に、男性が洗顔料や保湿クリーム、日焼け止めといったスキンケア製品をはじめ、香水やヘアケア製品を「自分磨き」「自信を持つためのビジネスツール(投資)」として日常的に購入するライフスタイルが定着してきています。

先述したJETROの調査報告書「ベトナムにおける化粧品市場に関する調査(2025年度)」においてもMetric社のデータを引用し、ベトナムの男性向けスキンケア市場の収益が2025年上期時点で2,590億ドン(約16億円)に達したと推測しており、わずか2年で「47.16%」もの爆発的な伸びを記録していることが紹介されています。将来的にはメンズ単体で約5億ドル市場に達するのでは?という予測もあるほどです。

写真は、男性のための必須コスメ8選について書かれたベトナム語の記事より

こうした外見に対する男性側の意識の変化、すなわちジェンダーレスなニーズの広がりが、市場全体の強力な推進力となっています。

2-2.販売される商品も市場ニーズと合わせて「クオリティ向上」へ

そしてもう1つの要素は、製品の安全性、調達、持続可能性に関する消費者の要求の高まりに企業や当局がしっかりと応え始めている点です。

天然由来で透明性が高く、環境に優しい成分を使用した製品、いわゆる「クリーンビューティー(Clean Beauty)」を消費者が好むトレンドは世界的に広がっています。該当製品の世界市場規模は、2025年の105億ドルから2033年には353億ドルにまで拡大すると予測されています。

この傾向はベトナムでも全く同様であり、消費者は単なるブランド名だけでなく、オーガニック性や健康にとって安全であること、原産地が明確(トレーサビリティ)な製品を極めて重視するようになっています。

画像は、クリーンビューティーについてのベトナム語の解説サイトより

しかし、天然成分だからといって必ずしも安全とは限らず、植物抽出物の組成などは原料のロットによって品質に変動が生じるリスクがあります。そのため、現在の化粧品企業は、栽培や原料検査から生産にいたるまで一貫した厳格さと透明性を打ち出せるよう、研究開発(R&D)を大幅に強化して商品を販売しています。

また、ベトナム政府(当局)もサプライチェーン全体におけるトレーサビリティや、企業の社会的責任に関する法的な要件を引き上げるなど、監視の目を急激に強めています。

不法な偽ブランド品や、成分表示・ライセンスに不備がある輸入品などの取り締まりが全土で厳格化されており、実際に多額の罰金処分や商品の強制廃棄処分を受ける地場・外資の業者が相次いで報じられています。

ちょうど1ヶ月前に本コラムで取り上げた「「2026/6/19の記事:市場に潜む影。急成長の裏で深刻化する「偽造医薬品・違法化粧品」問題とブランド防衛戦略」で起きていた摘発の波も、まさにこうしたベトナム美容市場が「量から質」へと健全にステップアップしようとしている背景によるものと言えます。

3. 筆者(石黒)が注目したポイント:

今回のニュースを見て興味深いと思ったのは、パーソナルケア市場が男性という面で拡大している点と、環境や天然由来といった質=奥行きという観点でも拡大していることです。

特に後者の規制強化やクオリティ志向は、世界的な潮流であると同時に、ベトナム市場がまた一歩、大人の成熟した市場へと確実に駒を進めていることを物語っています。

この成長するベトナムのパーソナルケア市場の開拓においては、現地の生活習慣の変化を客観的に捉えつつ、市場や当局が求める新しい安全基準やサプライチェーンの透明性を愚直にクリアしていく姿勢が求められます。

単なる「製品の販売」だけでなく、信頼性の高い運営管理(ソフト)の体制をいかに現地に最適化させていけるか、そんなことを感じたニュースでした。

実践型ビジネス出張ツアー「Ăng-Ten(アンテン)」

ベトナム拠点・IT開発センター設立の実践視察ツアー【Ăng-Ten】
現地プロ7社とのアポ調整・ホテル・移動がすべて完了。ベトナム出張が決まった新規事業担当者へ向けた、確かな判断材料を持ち帰るための超実践的ビジネスツアー。

「Ăng-Ten(アンテン、ベトナム語でアンテナを意味)」は、ベトナム最大の経済都市・ホーチミン市を実際に訪れ、現地で長年ビジネスを営む7名の専門家と直接つながる、2泊3日の密度の高いビジネス出張ツアーです。

💡 本ツアーで得られる3つの価値

  1. 誰に会うべきかが見える:法務(弁護士)・採用・金融(銀行)・BtoB営業・不動産など、現地で接点を持つべきスペシャリストと直接議論ができます。※弊社バイタリフィ アジアのDirector 石黒も、オフショア開発の専門家(講師)として本ツアーに登壇いたします!
  2. 何から着手すべきかが整理される:すべて日本語での実践講義を通じて、拠点設立に必要な実務の順番と、見落としやすい注意点(成功例・失敗例)をまとめて持ち帰れます。
  3. 帰国後の相談先(人脈)が確保できる:質疑応答や後日の個別面談を通じて、自社の悩みを直接ぶつけることができ、帰国後すぐに動ける体制が整います。

【開催スケジュール(2026年)】

  • 第4回目:8月19日(水)〜8月21日(金)
  • 第5回目:9月9日(水)〜9月11日(金)
  • 第6回目:10月14日(水)〜10月16日(金)

※オプションで航空券の手配や延泊(観光・ゴルフ等)のご相談も可能です。

急成長するベトナム市場への進出や、新規事業の拠点設立をミッションとして任された皆様。事前情報だけで判断するのではなく、ぜひ現地の最前線を自分の目で確かめに来てください。ホーチミンでお会いできることを楽しみにしています!

▼お申し込み・スケジュール詳細はこちら

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