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ベトナム医療ツーリズムが急拡大!年率18%成長のポテンシャルと課題(石黒が選ぶベトナムのニュース:2026/7/7)

ベトナム医療ツーリズムが急拡大!年率18%成長のポテンシャルと課題(石黒が選ぶベトナムのニュース:2026/7/7)

現地で報じられているニュースを日本人の視点から読み解き、リアルな現地事情を紹介していく「石黒が選ぶベトナムのニュース紹介」、第48回目。

今回は、ベトナムの「医療ツーリズム(メディカルツーリズム)」にスポットを当てます。

「安価で高度な医療技術」を武器に、東南アジアの新たな医療ハブへと急成長を遂げているベトナム。

現地で報じられた最新の市場データとハノイ市で開催された専門会議の内容をもとに、この急成長市場のリアルと、その裏に横たわる構造的な課題について読み解いていきましょう。

2026年7月6日 VnEconomy の報道(原文はベトナム語)
医療ツーリズムが急速に発展、2025年の収入は8億5000万ドル以上に達する

1. 世界よりも早い、年平均18%で成長するベトナムの医療ツーリズム

先日ハノイ市で開催されたカンファレンス「ハノイ医療ツーリズムの発展:政策から実践的な展開まで」にて、ベトナム保健省および各専門家から、ベトナム医療ツーリズムの驚異的な最新データが公表されました。

世界の医療ツーリズム市場は、年間約1,000億〜1,800億ドル規模、年間1,400万〜1,600万人の利用客を抱え、年平均10〜12%で成長している世界屈指の活況市場です。しかし、ベトナムはその世界平均をはるかに上回るスピードで疾走しています。

【数字で見る、ベトナム医療ツーリズムの現在地】

◆2025年の年間総収入:8億5,000万米ドル(約1,360億円)以上
年平均成長率は約18%という驚異的な勢いで拡大を続けています。

◆年間外国人患者数:30万人以上
不完全な統計情報ではあるものの、すでに毎年30万人を超える国際的な患者が、検査や治療のためにベトナムを訪れています。

◆グローバルからの多様な受け入れ実績:
最近では、オーストラリア人患者がハノイのVinmec Times City病院を訪れて前立腺がんの高度な治療を終えたほか、K病院、越独(Viet Duc)病院、Tam Anh総合病院などにおいて、ヨーロッパ、インドネシア、カンボジア、シンガポールといった多様な国々からの患者を効果的に受け入れています。

アジア地域における医療ツーリズムといえば、長年タイ、シンガポール、マレーシアの「3強」が市場を独占してきました。

例えばタイでは、低価格の心臓手術や美容整形手術(米国では10万ドルかかるのに対し、タイでは2万5000ドルから3万ドルで可能)が年間6億から7億ドルの収益を生み出しています。またマレーシアでも医療サービスは17億ドルの収益をもたらす産業となっています。

写真は、観光客の間でスキンケアサービスの需要が常に高いことを伝えるニュースより ホーチミン市皮膚科病院で撮影されたもの。

そして最近では、ベトナムが東南アジアにおける「第4の強力な選択肢」として台頭しています。

特にベトナムにおいて国際的に強い競争力(エッジ)を持っている主要分野として、歯科、不妊治療(生殖補助医療)、集中治療(ICU)、伝統医学、美容整形の5つが挙げられており、ハノイ市としても臓器移植や循環器、腫瘍、眼科、リハビリを含めた「ハノイ=高品質医療センター」としての国際ブランド化へ向けて国策として本腰を入れ始めています。

2. ニュースの背景にある「ベトナムのリアルな事情」:

これほど市場の数字が急拡大している一方で、タイやマレーシアといった近隣の医療・メディカルツーリズム先進国と比較すると、ベトナムが乗り越えなければならない課題も生々しく指摘されています。

2-1. 国際基準「JCI認証」の圧倒的な不足

外国人患者が国境を越えて治療を検討する際、最も信頼の拠り所とするのが、世界最高水準の医療安全・リスク管理基準である国際医療施設認証機構JCI(Joint Commission International)による認証の有無です。

JCI認証は「患者安全」「感染管理」「医療の質」など1,000項目を超える厳格な基準で審査され、医療設備の綺麗さだけでなく「安全な医療が継続的に提供されているか」が判断されます。1回取得して終わりではなく、3年ごとに再審査されるという厳しいものになります。

ホーチミン市にあるFV病院のJCI認証(病院のWEBより)

ライバルであるタイにはすでに65のJCI認証施設があるのに対して、ベトナムでは公立・民間を合わせても、まだ「10施設」しか存在していません。ベトナム政府(保健省)は2030年までに少なくとも15施設以上に増やす目標を掲げていますが、「医師の腕は一級品だが、国際的なお墨付き(ハコ)が圧倒的に足りない」のが現在のリアルな立ち位置です。

2-2. 最初から最後までを繋ぐ「トータルな旅程パッケージ」の不在

医療ツーリズムの現代のトレンドは、単に「病院に行って手術をして終わり」ではありません。

多言語対応やベトナム国外で発行された保険への対応と支払い決済はもちろん、事前のオンライン相談から、同行する家族を含めたビザ手続き、航空券・送迎・ホテルの手配、宗教上の制約があるならその対応(ハラル対応等)、術後のリハビリや経過観察、そして帰国後の遠隔アフターフォローにいたるまで、患者の全旅程(ジャーニー)が1つの洗練された統一プロセスとしてデザインされていることが求められます。

しかし現在のベトナムでは、病院と旅行会社、航空会社、翻訳サービス、保険会社との間の横の連携(エコシステム)がバラバラであり、ワンストップのパッケージ商品として規格化されていないのが現状です。

3. 筆者(石黒)が注目したポイント:

今回、医療ツーリズムの急成長と課題に関するニュースを見て私が最も強く感じたのは、この分野におけるベトナムの「化ける可能性(巨大な伸び代)」です 。

例えば、医療ツーリズムで世界的に有名なタイでは、多くの大手私立病院グループがタイ証券取引所に上場し、富裕層や外国人患者をターゲットに高収益な医療ビジネスをダイナミックに展開しています 。

そして首都バンコクにあるスワンナプーム国際空港の到着フロアには、レンタカー会社や携帯電話会社(SIM販売)、両替所などと並んで、有力病院が専門のブースを堂々と構えており、医療目的での入国者専用の対応窓口を設けています 。さらには、隣国ミャンマーなどの国内線機内誌にて、タイの病院が治療や検診を呼びかける華やかな広告を掲載していたこともありました 。

写真はバンコクのスワンナプーム国際空港の到着エリアにあるBumrungard病院のカウンター

ベトナムではまだ空港や機内誌でここまでの動きを目にすることがあまりないため、この分野で一歩先を進んでいるタイなどと比較すると学べるところは山ほどあり、それだけ今後の伸びしろは十分にあると考えられます 。

そして、先行しているタイやマレーシアに対するベトナムの最大の差別化ポイントは、「ハノイ」という地理上の圧倒的な優位性をどう活かしていくのかという点にあるのではないでしょうか。

香港やマカオ、中国国内で最も所得水準が高く富裕層の多い沿岸部、台湾、そしてフィリピンといった国々・地域からの物理的な移動距離(フライト時間)は、バンコクよりもハノイの方が明らかに短い(移動に伴う患者の身体的負担が少なくて済む)ため、計り知れない地理的アドバンテージがあります 。さらに、中国のベトナム隣接エリア(広西や雲南など)からであれば、国境を越えて鉄道でダイレクトに移動するという方法も現実的な選択肢となります 。

ハノイ(ノイバイ空港)から半径600マイル(約1000km)の距離内には、ホーチミンは入らないが、香港、マカオ、深圳、広州、重慶など中国の高所得地域が入る

こういった明確なターゲット国に対して、医師の腕の良さというハード(医療機関や医師、医療機材)の強みをベースに 、移動から滞在、アフターケアまでを繋ぐ『世界水準の安心と治療のパッケージ(ソフト面)』をどのように構築して打ち出していくのか 。

単なる医療行為を超えた、国のブランド力と総合的なサービスチェーンの質が問われる医療ツーリズムというビジネスは、ベトナム経済のさらなる「成熟」と「次なる躍進」を確信させる、極めてエキサイティングなニュースでした 。

実践型ビジネス出張ツアー「Ăng-Ten(アンテン)」

ベトナム拠点・IT開発センター設立の実践視察ツアー【Ăng-Ten】
現地プロ7社とのアポ調整・ホテル・移動がすべて完了。ベトナム出張が決まった新規事業担当者へ向けた、確かな判断材料を持ち帰るための超実践的ビジネスツアー。

「Ăng-Ten(アンテン、ベトナム語でアンテナを意味)」は、ベトナム最大の経済都市・ホーチミン市を実際に訪れ、現地で長年ビジネスを営む7名の専門家と直接つながる、2泊3日の密度の高いビジネス出張ツアーです。

💡 本ツアーで得られる3つの価値

  1. 誰に会うべきかが見える:法務(弁護士)・採用・金融(銀行)・BtoB営業・不動産など、現地で接点を持つべきスペシャリストと直接議論ができます。※弊社バイタリフィ アジアのDirector 石黒も、オフショア開発の専門家(講師)として本ツアーに登壇いたします!
  2. 何から着手すべきかが整理される:すべて日本語での実践講義を通じて、拠点設立に必要な実務の順番と、見落としやすい注意点(成功例・失敗例)をまとめて持ち帰れます。
  3. 帰国後の相談先(人脈)が確保できる:質疑応答や後日の個別面談を通じて、自社の悩みを直接ぶつけることができ、帰国後すぐに動ける体制が整います。

【開催スケジュール(2026年)】

  • 第4回目:8月19日(水)〜8月21日(金)
  • 第5回目:9月9日(水)〜9月11日(金)
  • 第6回目:10月14日(水)〜10月16日(金)

※オプションで航空券の手配や延泊(観光・ゴルフ等)のご相談も可能です。

急成長するベトナム市場への進出や、新規事業の拠点設立をミッションとして任された皆様。事前情報だけで判断するのではなく、ぜひ現地の最前線を自分の目で確かめに来てください。ホーチミンでお会いできることを楽しみにしています!

▼お申し込み・スケジュール詳細はこちら

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