SPORTEC Thailand視察!ASEANスポーツテック市場の現在地

こんにちは。VFA広報部です。
2026年6月25日から27日まで、タイ・バンコクのBITEC Hall 102で開催された「SPORTEC Thailand 2026」に参加してきました。

SPORTECは、日本で15年以上続くスポーツ・健康産業の展示会です。SPORTEC Thailand 2026は、その東南アジア展開として開催されたイベントで、BITECの公式情報では「タイ初のフィットネス・スポーツテクノロジー展示会」と紹介されています。

会場には、フィットネスマシン、スポーツ用品、ヘルステック、ピラティス、リハビリシステム、スポーツ施設関連設備など、スポーツ・健康産業に関わる幅広い製品やサービスが集まりました。

会場となったBITECは、BTS Bang Na駅からスカイウォークでアクセスできる大型展示会場です。来場者にも出展者にも移動しやすい会場であることは、展示会そのものの価値にもつながると感じました。
VFAのオフィスがあるベトナム・ホーチミン市でも、2024年末にメトロ1号線が開業しました。今後、ベトナムでもこうした大型展示会場や交通インフラがさらに整っていくのかもしれません。

なぜVFAがSPORTEC Thailandへ行ったのか
今回、VFAは、JSPIN国際市場開拓プログラムの参加企業として現地を訪問しました。
JSPINは、日本のスポーツ庁が設立した、日本と海外のスポーツ産業の連携を促進するためのプラットフォームです。SPORTEC Thailand 2026に関連するプログラムでは、現地関係者に向けたピッチプログラムや、在タイ日本国大使館・JETRO訪問なども案内されていました。

VFAは、ベトナム・ホーチミン市を拠点とする日系のソフトウェア開発会社です。普段はWebシステム、モバイルアプリ、AI、画像認識、XRなどの開発を行っていますが、スポーツ、フィットネス、ウェルネス、ヘルスケア領域の開発にも関わってきました。
たとえば、公開できる開発実績として、以下があります。
- GN+:国内No.1ゴルフアプリのクラウドインフラ・アプリ開発
- POCARI CROSS RUN:シンガポール全土の7-Eleven店舗Beaconと連携したO2O・IoTアプリ
- Baller:リアルタイムAI画像認識とARを組み合わせたバスケットボールアプリ
- Joggle:スマホだけで楽しめるジョギング体験アプリ
- FaceEmotion:カメラに映った人物の顔から感情をリアルタイムで数値化するAIシステム
また、JSPIN主催の英語ピッチでは、VFAを「Sport Tech企業がベトナムやASEANで小さく始め、速く検証し、必要に応じて現地展開を広げるための開発・現地展開パートナー」として紹介しました。
スポーツやウェルネスのサービスは、机上の計画だけでは成立しにくい領域です。実際にユーザーに使ってもらい、反応を見て、改善していくことが重要です。その意味で、ASEANの現場を直接見ることは、私たちにとっても大切な機会でした。
会場で見えたこと



実際に会場を歩いてみると、フィットネスマシン、健康測定機器、リハビリ機器、スポーツ施設向け設備など、フィジカルなプロダクトの存在感が大きい印象でした。
一方で、VFAとして特に注目したのは、デジタルを活用したサービスです。
健康状態を測定する機器、運動フォームの改善を支援するプロダクト、スポーツチームやリーグ運営をデジタル化するサービス、試合映像からハイライトを生成するAIサービスなどが見られました。
会場全体としては、タイのSport Tech市場は、現時点では「機器」や「施設設備」の存在感が大きいように感じました。ただし、その周辺にあるソフトウェア、データ活用、継続支援、ファン体験の領域には、これからさらに伸びる余地がありそうです。
タイ市場で気になったこと
タイは、ASEANの中でも高齢化が速く進んでいる国の一つです。World Bankは、タイをシンガポールに次いでASEANで2番目に高齢化が速い国と説明しています。
そのため、スポーツやフィットネスは、単なる娯楽や趣味だけではなく、健康寿命、医療費、地域コミュニティ、企業の人材定着ともつながるテーマになっていくはずです。

会場では、タイ政府が関わる健康管理アプリ「Calories Credit Challenge(CCC)」も見かけました。タイ政府の公式情報では、CCCはテクノロジーを活用して継続的な運動を促す取り組みとして紹介されており、50以上の組織が連携するプロジェクトとされています。

また、タイの国家戦略「Thailand 4.0」は、従来型産業から、より価値の高いデジタル経済へ移行することを目指す考え方として紹介されています。スポーツやウェルネスの領域でも、今後は「測る」「記録する」「続ける」「分析する」「体験を改善する」といったデジタル化が進んでいくのではないかと感じました。

台湾勢のSport Techが印象的だった
今回、特に印象に残ったのが台湾系のSport Tech企業です。会場では、ASPN Sports Tech Acceleratorに関連する台湾企業も出展していました。
ASPNは、APEC Sports Policy Networkの略称です。2016年9月に始まったネットワークで、APECの枠組みの中で、スポーツ政策、スポーツ産業、スポーツテックに関わる機関や専門家が意見交換を行う場として位置づけられています。

ASPN Sports Tech Acceleratorは、この文脈の中で、アジア太平洋地域のスポーツテック企業を支援するアクセラレータープログラムです。公式情報では、これまでに25カ国・地域の130社を支援し、3,800万米ドル以上の投資・事業価値を創出してきたと紹介されています。

台湾企業の中で印象に残った一社が、MEET AGILEの「XCEED SPORTS」です。公式サイトでは、登録、スケジュール、スタッツ、配信、Webサイト構築を一つのプラットフォームで扱うサービスとして紹介されています。

リーグや大会の運営は、表から見る以上に細かな作業が多い領域です。参加登録、試合日程、スコア、スタッツ、配信、ファンへの情報発信がつながると、スポーツ運営そのものの体験が変わります。

もう一社、印象的だったのが「Spot」です。Spotは、ライブ映像からクリップ、キャプション、ハイライトをリアルタイムに生成するAI Live Media Agentとして紹介されています。スポーツ放送、リーグ、チーム、ニュースメディアなどを対象に、ライブ映像の切り抜き、タグ付け、配信を支援するサービスです。
会場で話を聞いていて感じたのは、台湾企業は「技術がある」だけでなく、リーグ運営、映像配信、チーム運営、ファン接点といった現場の課題に入り込んでいる点です。
Sport Techは、技術だけでは成立しません。競技団体、リーグ、チーム、放送、スポンサー、ファン体験までつながって、初めて価値になります。この点は、ASEANでSport Techを考えるうえで、とても参考になりました。
日本が持っている可能性
もう一つ印象に残ったのが、ウェルネス領域でのデジタルプロダクトです。
日本では少子高齢化がいち早く進み、企業が従業員の健康を経営課題として捉える「健康経営」の取り組みが広がっています。

この領域で興味深かったのが、日本主導で開発・発行された国際規格「ISO 25554:2024」です。

世界的な高齢化が進む中、地域や組織が「何を目標に、何を測定し、どう改善するか」という基準がありませんでした。この規格は、日本の健康経営の知見を踏まえ、多様な組織でウェルビーイング推進を実践するためのガイドラインとなっています。
企業や組織ごとに、何を良い状態とするのか。その状態をどう測るのか。利用者にとって無理なく続けられる設計になっているのか。データを集めるだけでなく、行動が変わる体験になっているのか。
日本には、「高齢化」「健康経営」「ウェルビーイング」「現場改善」に向き合ってきた圧倒的なデータの蓄積があります。一方で、ASEANには「若い市場」「スマートフォンの高い利用率」「健康意識の急激な高まり」「スポーツ産業の成長」という強烈なモメンタムがあります。
この二つをつなぐ領域に、Sport TechとWellness Techの可能性があると感じました。会場では、こうした文脈に関連する日本のウェルネス領域のデジタルプロダクトも紹介されていました。
まとめ

今回のSPORTEC Thailand 2026で感じたことは、大きく三つです。
一つ目は、タイではスポーツ、フィットネス、ウェルネスへの関心が高く、健康や高齢化の文脈でも市場が広がっていく可能性があること。
二つ目は、現時点ではフィットネスマシンや健康測定機器など、フィジカルなプロダクトの存在感が大きい一方で、ソフトウェアやデータ活用型のSport Techには、まだ伸びる余地があること。
三つ目は、台湾企業のように、技術をリーグ運営、映像配信、ファン体験の現場に接続している企業が出てきていることです。
VFAは、ベトナム・ASEANでSport TechやWellness Techを試したい企業に対して、現地で試し、反応を見ながら改善していく支援ができると考えています。
スポーツ、フィットネス、ウェルネスは、これからますますデジタルとつながっていく領域です。ベトナムから、ASEANの現場で役立つデジタル体験を、一つずつ形にしていきます。
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