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気温40度超えで電力消費が過去最高を更新!ベトナムはどのように電力供給をしているのか?(石黒が選ぶベトナムのニュース:2026/5/27)

気温40度超えで電力消費が過去最高を更新!ベトナムはどのように電力供給をしているのか?(石黒が選ぶベトナムのニュース:2026/5/27)

現地で報じられているニュースを日本人の視点から読み解き、リアルな現地事情を紹介していく、石黒が選ぶベトナムのニュース紹介、第19回目。

5月も最終週となり来週からは6月。暑い日が多くなりますが、ベトナムにおいても各地で非常に暑い日が続き、5月25日に電力消費量が過去最高値になったと報じられました。今回はそのニュースに掲載されていたベトナムの電力消費量と発電量について紹介します。

2026年5月25日のBao Dau Tu(投資報)ニュース
全国の電力負荷容量が13時40分に55,196 MWに達し、新たなピーク(新記録)を樹立

1.電力消費が過去最高を更新

今回取り上げるのは、ベトナムの「電力消費の急増」に関するニュースです。

国家電力系統運用市場会社(NSMO)によると2026年5月25日午後1時40分、ベトナム全国の電力負荷量(瞬間的に必要な電力)が55,196メガワット(MW)に達し、2025年8月に記録した過去最高(54,941 MW)を塗り替え、歴史上の新記録を樹立したとあります。それに合わせて各地域の発電量も増えて

北部地域(ハノイetc):27,955MW
中部地域(ダナンetc):5,380MW
南部地域(ホーチミンetc):22,109MW

を記録しました。ちなみに5月25日時点における翌5月26日の予測消費量は、

ベトナム全土:11億8800万kWh
北部地域:6億1000万kWh
中部地域:1億700万kWh
南部地域:4億7000万kWh

とあり、引き続き高い水準が続くと予想されています。

2.ニュースの背景にある「ベトナムのリアルな事情」

なぜこれほどまでに電力消費量が急増しているのか、そしてそういった状況下でも電力供給が確保できているのかについても紹介します。

2-1.電力消費を支えるベトナムの発電インフラ

今回の報道で興味深いのは、現在のベトナムにおける発電構成が載っていた点です。それによると2026年5月24日時点のベトナムにおける発電構成は、以下の通りです。

◆水力発電:2億7330万kWh(26.2%)
◆石炭火力発電:5億6410万kWh(54.0%)
◆石油火力発電:30万kWh(0.0%)
◆ガスタービン:5910万kWh(5.7%) 
◆バイオマス発電:450万kWh(0.4%)
◆風力発電:3160万kWh(3.0%)
◆太陽光発電:5260万kWh(5.0%)
◆屋上太陽光発電(推定):4420万kWh(4.2%)
◆その他の電源:1430万kWh(1.5%)

とあります。ベトナムにはまだ原子力発電が無く、電力供給の半分超を占めるのが石炭火力で、さらに水力と合わせると80%超となります。

しかしバイオマスや風力、太陽光などの新エネルギーと言われる分野でも12.6%を占めており、これは日本の10.5%よりも高い割合となります。(日本ー資源エネルギー庁の「2025年10月2日時点における電気事業者からの報告(発受電月報)をもとに作成された資料」より)

2-2.電力需要を急増させた熱波

電力消費が急増した最大の理由は、現在ベトナム北部と中部で発生している広範囲にわたる熱波です。多くの地域で猛暑が続いており、気温は36℃から40℃に達することが多く、一部地域では40℃を超えるところもあります。

ニュースでは、そんな暑さ(強烈な熱)の状況を伝えるような写真が流れています。例えば、

強烈な太陽光による熱(痛み)を避けるため段ボールを被ってバイクを運転する人(ベトナム語の報道より)

気温が摂氏40度を超える中、ハノイの女性たちはバルコニーで肉を天日干ししようと競い合っている。(ベトナム語の報道より)

この様に強烈な暑さによってオフィス及び一般家庭でのエアコン使用が増えました。このため想定を超える電力需要の波(ピーク)が生み出されています。

2026年5月25日の電力負荷、青線は予測線、赤線は実際の線を示すとある。(今回紹介のベトナム語の報道より)

2-3.電力消費が急増してもSTOPさせない国の覚悟

 ベトナム北部には、サムスンやAppleのサプライヤーをはじめとする世界トップクラスの製造業が集積しています。実は数年前の夏、記録的な猛暑と水不足(水力発電の停止)により、北部で深刻な電力不足が発生し、工業団地で前触れのない「計画停電」が頻発しました。これにより、多くの外資系工場が操業停止に追い込まれ、巨額の損失を出した「トラウマ」があります。

北部にあるサムスンの巨大工場はベトナムの輸出を支えている

政府は国民や企業に対して、強いトーンで節電を呼びかけていますが、一方で高コストなLNG(液化天然ガス)発電や重油発電をフル稼働させ、乾季の後半に向けて水力発電用のダムの水を温存するという「綱渡りの運用」をしている背景には、「絶対に工場を止めて外資の信頼を失うわけにはいかない」という国家の威信をかけた行動とも見えます。

3. 筆者(石黒)が注目したポイント

今回のニュースで興味深かったポイントは既に書いた電力構成に占める新エネルギーの割合が日本よりも高い12.6%を占めているという点と、今後も今まで以上に「エネルギー効率や環境配慮(サステナビリティ)」といった点が注目される環境にあるという点です。

これは、日本企業にとって「グリーンビジネス・省エネ分野」におけるビジネスチャンスがあると考えられます。

  • 省エネ・エネルギー管理システム(BEMS/FEMS): 電気代が高騰し、停電リスクを抱えるベトナムの工場やビルにとって、電力消費を可視化し最適化する高度なITシステムは、コスト削減とBCP(事業継続計画)の両面でニーズがあると考えられます。
  • 蓄電池・分散型電源インフラ: 屋上太陽光発電で作った電気を貯め、ピーク時や停電時に活用する大容量蓄電池システム。不安定な電力網を補完するソリューションとしてニーズが高いと考えられます。
  • 猛暑対策・断熱ソリューション: 建物の温度上昇を防ぐ高機能な遮熱塗料や断熱材、あるいは食品の廃棄を防ぎつつエネルギー効率の高いコールドチェーン(低温物流)設備などへの需要です。

日本企業の強みである「最適化・省エネ・環境配慮」をどのようにベトナムの市場に適用し、現地で稼いでいくのか。そんな新しいビジネスの可能性を強く感じさせるニュースでもあります。

石黒健太郎による「ベトナム経済ニュース」最新記事一覧はこちら

Articles by Kentaro Ishiguro(石黒健太郎) | Vitalify Asia Tech Blog
東南アジア駐在16年超、複数国で拠点立ち上げから経営までを歴任。ベトナムでのシステム開発の勘所から最新ビジネス事情まで、現地在住者ならではの視点で発信している。趣味はバックパッカー旅行。自らの足で稼いだリアルな情報も交え、企業の海外進出を後押しする。

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コラム | バイタリフィアジア
コラム記事一覧|オフショア開発やシステム開発の最新トレンド、成功のヒントを発信。経営層・開発担当者に役立つ情報をまとめています。

現地の「今」を肌で捉え、確実な事業戦略を描くために

今回ご紹介した内容だけでなく、ベトナム市場にはインターネット上の情報だけでは見えてこない「リアルなビジネスチャンス」と「新興国特有の落とし穴」が無数に存在します。

自社の技術やサービスをベトナムでどう展開すべきか?開発拠点や販売拠点を設立するには何から着手すべきか?

そうした課題を解決し、ベトナム出張を「確かな成果(実践プラン)」へと繋げるための特別なプログラムが開催されます。

実践型ビジネス出張ツアー「Ăng-Ten(アンテン)」

ベトナム拠点・IT開発センター設立の実践視察ツアー【Ăng-Ten】
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