タワマン予定が巨大な公園へ・都市計画の変更から見えてくるものとは?(石黒が選ぶベトナムのニュース:2026/4/29)

現地で報じられているニュースを日本人の視点から読み解き、リアルな現地事情を紹介していく、石黒が選ぶベトナムのニュース紹介、第1回目。
皆さんは、ベトナムと聞いてどんな風景を思い浮かべるでしょうか?
「絶え間なく走る無数のバイク」「活気あふれる屋台」、または「あちこちで建設中の高層ビル群」でしょうか。
もちろんそれらもベトナムの姿ですが、現在のベトナムはそこからさらに一歩先のステージへと進もうとしている、そんなことを伝えてくれるニュースを紹介します。
2026/4/26のCafefニュース (原文はベトナム語)
ホーチミン市はアパート建設計画を中止し、ベンニャロンの一等地を川沿いの20兆ベトナムドン規模の巨大公園に転換する。
1.幻となった巨大タワマンと、誕生する「超巨大公園」
ホーチミン市の中心部に位置する一等地「ニャーロン(Bến Nhà Rồng)〜カインホイ(Khánh Hội)」エリアで計画されていた、数千戸規模の巨大マンション開発プロジェクトが白紙撤回され、代わりに総投資額20兆ドン(約1,200億円)規模の「水辺のスーパーパーク(超巨大公園)」が建設されることになりました。

ホーチミン中心部から南東側に位置するサイゴン川沿いの赤枠の地域です。
実はこのエリア、2016年の時点では、3,100戸以上のマンションや商業施設などを建設する計画が承認されていました。当時の計画では、公園などの公共スペースは全体のわずか4%ほどしかなく、大半が高層住宅で埋め尽くされる予定でした。
それが今回の「大転換」により、なんと敷地面積の60%が緑地と水辺に、20%が公共施設、残り20%が国際客船ターミナルへと変更されました。公園の面積が元の計画の15倍にまで拡大されることになっています。
さらに、単に講演=緑を増やすだけでなく、長年の課題だった周辺の交通渋滞を解消するため、幹線道路(グエン・タット・タン通り、Đường Nguyễn Tất Thành。上記図の赤枠の下の部分が面する通り)を最低8車線に拡張し、約3兆ドン(約180億円)をかけて新しい橋も建設される予定とあります。
ちなみにこのプロジェクトは、ベトナムの祝日である南部解放記念日(1975年のサイゴン陥落の日=ベトナム戦争終結と南北統一に繋がる歴史的出来事)4月30日に合わせて着工される目玉プロジェクトの1つとなります。
2.実は、日本とも関係している歴史的な場所「ニャーロン」
今回のニュース記事の本文には、あまり詳しく書かれていませんが、現地の人々にとって「ニャーロン」という場所は、特別な意味を持っています。
ニャーロン埠頭は、1863年にフランスによって建てられた古い港湾施設です。ここからフランスのマルセイユなど国際航路が繋がっていました。
ベトナムが世界と繋がった場所、近代的な文明が入ってきた場所(日本で言うなら横浜や神戸でしょうか)、しかし見方を変えれば、フランスがベトナムへ侵略し植民地にした、その第一歩を踏み入れた場所でもあります。

国際航路を運航していたMessageries maritimes社の紹介サイトより
そして、このふ頭にある現在はホーチミン博物館となっている建物(通称ドラゴンハウス)。
ここは国際航路を運航した海運会社(Messageries maritimes)の拠点であり、1911年に若き日のホー・チ・ミン氏(当時の名前はグエン・タット・タン)が、フランスの植民地支配から祖国を救う道を求めて客船に乗り込み、世界へと旅立った出発点として知られている場所です。
つまり、ベトナムの近現代史において非常に重要な歴史的シンボルでもあります。

ドラゴンハウスとも呼ばれるホーチミン博物館(ベトナムの旅行サイトより)
そしてここは日本にも関係している場所です。
1941年7月、日本は後に対米戦争へと繋がるきっかけとなった南部仏印進駐を行いました。その際、日本軍が船舶から上陸した場所がこの「ニャーロン」です。

NHKアーカイブス 日本ニュース 第61号 検閲合格日1941年8月5日より
そしてサイゴン中心部へと軍事パレードを実施した場所が、ふ頭に隣接した、今回拡張されるという幹線道路(現在のグエン・タット・タン通り)です。

今回のスーパーパーク構想は、そんな歴史ある地区を再活用して「国際的な文化・観光の拠点」へと一気に押し上げる、まさにホーチミン市の「新しい顔」を作るプロジェクトとも言えます。
3.筆者(石黒)が注目したポイント
このニュースから読み取れる最大のポイントは、ベトナムという国、特にホーチミン市の「都市としての成熟」です。
これまで新興国の発展といえば、「空き地があればとにかく高層ビルやマンションを建てる」という、経済成長と不動産利益を最優先した開発が主流でした。

実際に同じサイゴン川に面した上記オレンジ色で囲われた北東側のBaSonエリアには、フランス時代の造船所跡などが近年まで残っていたものの、再開発によって高層ビルや高層コンドミニアム(日本でいうタワーマンション)Vinhomes Golden Riverなどが立ち並ぶエリアとなっています。

高層タワマン群Vinhomes Golden River(ベトナム語のサイトより)
しかし今回、ホーチミン市は目先の莫大な不動産利益(タワーマンション建設)ではなく、市民の生活の質の向上、歴史遺産の活用、渋滞を緩和するインフラ開発といった、都市の質を上げることで長期的な魅力を高める都市開発へと大きく舵を切ったことになります。

グエン・タット・タン通りの交通渋滞も改善に向かう?(ベトナムの報道より)
これは、日本企業にとっても大きなビジネスチャンスに繋がる可能性のある出来事です。
単に高層ビルだけをバンバン建てていくことが開発であった状況から、インフラ整備、交通渋滞の解消、環境保護、グリーンテクノロジー、スマートシティ、生活の質の向上や都市の魅力向上へ。
これらは、日本企業が長年培ってきたノウハウや高い技術力が存分に活かせる分野でもあります。
「とにかく作れば売れる、大きいことは良いことだ」という時代から、「いかに豊かに、快適に、持続可能に暮らすか」をデザインして価値を上げる時代へとベトナムのニーズは確実に高度化している、そんなことを感じさせるニュースです。
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現地の「今」を肌で捉え、確実な事業戦略を描くために
今回ご紹介した介護市場の勃興だけでなく、ベトナム市場にはインターネット上の情報だけでは見えてこない「リアルなビジネスチャンス」と「新興国特有の落とし穴」が無数に存在します。
自社の技術やサービスをベトナムでどう展開すべきか?開発拠点や販売拠点を設立するには何から着手すべきか?そうした課題を解決し、ベトナム出張を「確かな成果(実践プラン)」へと繋げるための特別なプログラムが開催されます。

「Ăng-Ten(アンテン、ベトナム語でアンテナを意味)」は、ベトナム最大の経済都市・ホーチミン市を実際に訪れ、現地で長年ビジネスを営む7名の専門家と直接つながる、2泊3日の密度の高いビジネス出張ツアーです。
💡 本ツアーで得られる3つの価値
- 誰に会うべきかが見える:法務(弁護士)・採用・金融(銀行)・BtoB営業・不動産など、現地で接点を持つべきスペシャリストと直接議論ができます。※弊社バイタリフィ アジアのDirector 石黒も、オフショア開発の専門家(講師)として本ツアーに登壇いたします!
- 何から着手すべきかが整理される:すべて日本語での実践講義を通じて、拠点設立に必要な実務の順番と、見落としやすい注意点(成功例・失敗例)をまとめて持ち帰れます。
- 帰国後の相談先(人脈)が確保できる:質疑応答や後日の個別面談を通じて、自社の悩みを直接ぶつけることができ、帰国後すぐに動ける体制が整います。
【開催スケジュール(2026年)】
- 第1回目:5月27日(水)〜5月29日(金)
- 第2回目:6月17日(水)〜6月19日(金)
- 第3回目:7月15日(水)〜7月17日(金)
※オプションで航空券の手配や延泊(観光・ゴルフ等)のご相談も可能です。
急成長するベトナム市場への進出や、新規事業の拠点設立をミッションとして任された皆様。事前情報だけで判断するのではなく、ぜひ現地の最前線を自分の目で確かめに来てください。ホーチミンでお会いできることを楽しみにしています!
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